臨月のママに襲い掛かるメンヘラ女!極限状態の恐怖映画「インサイド」

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『インサイド』

配給/ショウゲート 7月13日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほかで公開
監督/ミゲル・アンヘル・ビバス
出演/レイチェル・ニコルズ、ローラ・ハリングほか

“パツキン美人妊婦に降りかかる受難”というのが、この夏~秋の洋画の裏テーマらしい、とこじつけてみた。何しろ、毎月オメデタだ。6月に公開された『母という名の女』ではアナ・バレリア・ベセリルが臨月ヌードを披露すれば、8月公開予定の『タリーと私の秘密の時間』ではシャーリーズ・セロンがモロにヌードのハラボテ姿を見せつけ、いち早く試写で観た9月公開のスリラー『クワイエット・プレイス』でエミリー・ブラントが同様に大きいお腹を揺すって悲痛な闘いに挑んでいた。で、今月担当(?)の妊婦はこのレイチェル・ニコルズで、例によって大きいお腹で地獄の目に遭う、というわけだ。う~む、いかにも胎教に悪そうだなあ。

出産を間近に控えたサラ(レイチェル・ニコルズ)は突然の交通事故により夫を失い、自身も補聴器なしでは耳が聞こえない障害が残ってしまう。心の支えは無事だったお腹の赤ちゃん。だ、ある晩、見知らぬ女(ローラ・ハリング)が自宅に侵入し、彼女を襲う。正体不明、目的不明のこのサイコ女に対し、サラの反撃なるか?

 

主人公を変更したリメーク作

同作はフレンチ・ホラー『屋敷女』(2007年)のリメークで、オリジナルでは『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』(1986年)のヒロインだったベアトリス・ダルが演じた狂気のサイコ女に力点が置かれていたが、今回は妊婦役が主人公。テイストも微妙に違う。今回のヒロイン、レイチェルは、深夜の駐車場で、サイコなストーカーの警備員に襲われながらド根性で反撃するOLを演じたホラー『P2』(2007年)が良かった眩いパツキン女優。今回はその『P2』にも増してハンデは重い。“極量”と言ってもいい動きが封じられる臨月のお腹、補聴器頼りの耳、助けはないし(心配して来訪した隣人や警官はサイコ女の犠牲に…嗚呼)、破水までしてしまう…。

妊婦のお腹にエロスを感じる人は意外と多いとか。ボクはそこまでマニアじゃないが、好みのタイプのレイチェルのお腹なら話は別かも。そんな無防備、徒手空拳のヒロインに、サイコ女はハサミだ、ナイフだ、と凶器攻撃。もう血まみれ、ずぶ濡れでのタイマン勝負はセクシーですらある。思わず、レイチェル、頑張れ! 『P2』で見せたド根性、見せたれや! と声援を送りたくなる。

そしてこうして、くんずほぐれつ、最終決戦場となるのは雨が激しく降る中での、シートに覆われたプールという念の入れよう。女の敵は女、とよく言われるけど、女同士の死闘はド迫力! 昔、ビルの屋上でよくやってた“泥レス”のガチンコ版気分で観るべし。

 

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