「エロスの記憶」が垣間見えるお色気たっぷりな土産物とは

エロ漫画がリアルな“劇画”から“アニメ的なかわいい絵”にシフトしていったように、嗜好されるエロスというものは時代とともに移り変わっていくもの。公式な記録として残りにくい分野ということもあり、昭和のエロスの記憶も徐々に薄れていっている気がします。

その記憶の断片は案外、場末で売られていたおもちゃや、観光地の土産物の中に埋もれていたりするのです。

例えばこちらの愛知県・吉良温泉で売られていた『行水』のワンシーンを再現した土産物をご覧ください。

行水とは家庭用給湯器が普及する以前、主に夏の暑いときなどに、庭などに置いたタライに湯または水をはり、汗を流した入浴法のことです。私も幼少のころ、1960年代の中ごろまで、夏は小さな庭での行水で入浴を済ませたものです。今では懐かしい夏の風物詩でした。

それにしても、ごく単純な形をした数個の木材製パーツだけで構成されているだけなのに、女性の何と色っぽいこと! たまりませんねぇ。  

こちらは神奈川県・真鶴岬で売られていた、今や絶滅の危機に瀕している『海女さん』の土産物です。 。

胸をあらわにし、腰を布一枚で隠しただけの、かなり古式な海女さんですね。

しかし、この八頭身、腰のくびれ、スラリと伸びたおみ足…。先ほどの行水人形と同様に単純な形の木製パーツだけで見事に女性美を表現しています。この計算された形と設計は、熟練された職人のなせる技でしょう。

こちらは人間の女性ではありませんが、妙に色っぽい『河童のポーズ人形』です。

ポーズ人形といえば1960年代を中心にはやった、少女漫画から抜け出たような目がパッチリとした日本製のお人形ですが、なぜ河童?

1955年~1970年代、清水崑・小島功が描く『黄桜酒造』の艶っぽい河童のキャラクターを起用したアニメCMが流行したので、その影響かもしれません。

小島功が描いた単純な線画で量感のあるグラマー女性は画期的表現であり、昭和30年代の“週刊誌創刊ブーム”では類似の漫画がもてはやされました。

先に紹介した木製土産物が、こけしの抽象性を保ちつつもポップで健康的な色気を感じさせるのも、この時代の漫画表現の影響を受けているからなのかもしれません。

思えば、素朴な土産物の中にエロスをにじませて表現し、架空の生き物である河童をお色気たっぷりに擬人化してみたり、昭和人はエロスに対してかなり高度な感受性を持っていたのではないでしょうか。

といっても、古くは『鳥獣戯画』に始まり、今でも怪獣、戦艦、日本刀、鉄道、国家…何でもかんでも擬人化し、エロスたっぷりにフィギュアにしてしまうあたりは、もはや日本人の伝統芸なのかもしれません。

(写真・文/おおこしたかのぶ)

 

【画像】

Skylight / PIXTA(ピクスタ)

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