『核の傘』日米原子力協定が「こっそり自動延長」された将来のリスクとは

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今年も広島と長崎では「原爆の日」に平和の祈りが捧げられた。

長崎の平和祈念式典には、国連の事務総長では初めてアントニオ・グテーレス氏が出席し、「核保有国は、核軍縮をリードする特別の責任がある」と核兵器の根絶を訴えた。

安倍首相は広島でスピーチを行ったものの、昨年7月に国連で採択された核兵器禁止条約への言及はなく、ノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)にも一切触れなかった。そればかりか、式典後、被爆者7団体が核兵器禁止条約への署名・批准を求めたのに対し、安倍首相は「参加しない考えに変わりない」と拒否した。

核兵器禁止条約は、核兵器の開発・保有・使用などを法的に禁止する国際条約だが、「唯一の被爆国」である日本が参加しなかった理由は簡単だ。アメリカの「核の傘」に入っているからである。

しかし、日本は23年連続で国連総会第1委員会(軍縮)に核兵器廃絶決議案を提出しており、日本の姿勢は海外から見て非常に分かりづらい。

さて、あまり大きく報道されなかったが、7月16日に「日米原子力協定」が発効から30年の期限を迎えて「自動延長」された。歴史を振り返ると、1955年11月に締結された日米原子力研究協定が58年に日米原子力協定に置き換えられ、88年に更新された。そして、30年後の今年に延長された形だ。

 

無計画な政策のツケはのちの世代に押し付けられる

そもそも戦後の日本は、原子力開発はすべて国産技術を基礎から培養しようという計画だった。しかし、アメリカが濃縮ウランを研究用に貸与することを折り込んだ原子力援助計画を持ち掛けてきたために、日本は乗らざるを得なくなった。

アメリカは日本が独自に原子力に関する研究・開発を進めることを嫌い、日本を目の届くところに置いておきたかったのである。日米原子力協定によって、アメリカは日本の原子力政策を完全にコントロールする体制が整った。

日米原子力協定は、日本が原子力を利用できる「根拠」の1つでもある。日本は現在、原発の使用済み核燃料(核のゴミとも言う)を再処理して出てくるプルトニウムを47トン保有している。プルトニウムは核兵器の原料となるのだが、日本は例外的に非核保有国で唯一、プルトニウムの保有が認められている。

日本は従来から、保有しているプルトニウムはあくまで原発の燃料であると説明している。これはいわゆる「核燃料サイクル」のことだ。しかし、核燃料サイクルの中核だった高速増殖炉「もんじゅ」の失敗については全世界が知っており、日本のプルトニウムに再び注目が集まっている。

これ以上プルトニウムを増やさないようにするには、使用済み核燃料の再処理を止めればよい。しかし、そうすると今度は使用済み核燃料、すなわち核のゴミをどうするのかという難題にぶち当たる。

政府が無計画なままに原子力政策を推し進めてきたツケは子や孫の世代に押し付けられていくのである。

 

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