愛人に金を貸したまま別れた場合、戻ってくる可能性ほぼゼロ!

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知人や友人との間で、お金の貸し借りをしてトラブルに発展することは珍しくない。借用書(金銭消費貸借契約書)があれば最悪の場合、法的手段に訴えることも可能だ。しかし、金額にもよるが、仲のいい友人だと借用書を書いてもらうのも気が引けるもの。お金を貸すのが恋人や不倫相手(愛人)ならなおさらだろう。「セコい男!」と思われるのがイヤだからだ。

横浜の会社役員、佐竹靖之さん(仮名・57歳)は3年前、スナックを経営している45歳の不倫相手がマンションを買うとき、頭金の足しに500万円貸したという。毎月、一定額を返済してもらっていたが、先月ケンカ別れしてしまったのだとか。返済はまだ半分も済んでいないため、今後もきちんと返済してもらえるのか不安だという。

お金のトラブルに詳しい都内の弁護士はこう話す。

「金銭消費貸借契約書を作成しておけば、返済がない場合でも法的手段を講ずる際の証拠にすることができます。法的手段としては、支払督促の申立てをする方法と、貸金請求訴訟を提起する方法が挙げられます。支払督促は、相手の住所地を管轄する簡易裁判所に申立てをするものですが、書類審査のみなので訴訟と異なり、審理のために裁判所に行く必要もなく、手数料も訴訟の場合の半額なので、手軽さという点でメリットが大きいです(ただし、相手方から異議が出た場合は訴訟へ移行)」

 

公序良俗に反していなことの照明が必要

不倫相手の場合、痴情のもつれで訴訟になることも考えられる。

「訴訟は、相手または自分の住所地を管轄する地方裁判所に提起することになります。支払督促や判決が確定したにもかかわらず返済しない場合は、強制執行を申し立てることができます。強制執行がなされれば、相手の財産(給与債権を含む)を差し押さえて、弁済を受けることが可能です。ただし、相手に差し押さえるべき財産がなければ、強制執行でもお金は戻ってきません。あらかじめ金銭消費貸借について強制執行認諾文言付公正証書を作成しておけば、返済されない場合、訴訟等を経ることなく直ちに強制執行を申し立てることが可能です。公正証書は、最寄りの公証役場で作成することができます」(前出の弁護士)

佐竹さんの場合、不倫相手に貸すわけだから、さすがに公正証書の作成というわけにはいかないだろう。借用書の作成に応じてくれない場合は、せめてメールでもよいので、お金を貸した日、貸した金額、返済された金額、残金の返済期限・返済方法、利息を明記して、双方の合意を証明できる記録として残しておけばよいそうだ。

一般論として、個人間で貸したお金の返済を迫る方法としては上記の通りだが、お金を貸した相手が不倫相手となると、裁判所が請求を認めるとは限らない。このお金の貸し借りの合意(金銭消費貸借契約)が民法90条の「公序良俗違反」に該当するのかどうかという点だ。

例えば、誰かにお金を貸しても、それが不法だったり(暴力団にお金を貸すなど)、その契約の動機が不法である場合(拳銃を買うと分かってお金を貸すなど)、その契約は公序良俗に反するものとして無効になるからだ。その取り戻しを認めると、「法が悪いことをしてしまった人に手を貸す」ことになってしまう。

佐竹さんの場合、「不倫関係の維持」のために貸したお金かどうかがポイントだ。彼女の気持ちをつなぎ止めるために援助したのだとすると、お金の貸し付けが公序良俗に違反するものと判断される可能性がある。佐竹さんはお金を貸した目的が「不倫関係の維持」ではないことを証明しなければならないだろう。

 

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