高校野球ドーム開催論を吹き飛ばした「夏はやっぱり甲子園」の声

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全国で記録的な猛暑が続いた中、「球児たちを殺す気か!」と議論になった第100回全国高等学校野球選手権大会、いわゆる“夏の甲子園”が無事、終わった。

8月21日に行われた決勝戦は北大阪代表の大阪桐蔭が秋田代表の金足農を13‐2で破り、史上初となる二度目の春夏連覇を果たした。

「ドーム球場で行うべきだとか、開催時期をずらしてはどうかなど、100回の節目を迎える今大会の根本的な見直しを迫る意見も高野連以外から出ました。プロ野球はナイターで行われていますが、今年の夏は『それでも大丈夫か?』と心配になるほどの暑さでしたからね。ドーム球場で具体的に挙がったのは、同じ大阪圏内ということで京セラドーム大阪でした」(スポーツライター)

社会人野球の夏の祭典「都市対抗野球大会」は東京ドームで、しかも応援社員が終業した夜に行われている。とはいえ、熱中症対策だけで甲子園から去るのはいかがなものか。

「米国にも元日の恒例イベント、アメフトの『ローズボウル』がありますが、甲子園もローズボウルと同じように、会場となるスタジアム、球場の名前がそのまま大会名として定着しています。甲子園大会は甲子園でやるから“甲子園”なんだというのは、野球に思い入れがあるなしにかかわらず、ブランド論から言っても、それまで球児が紡いできた歴史込みで、ブランド価値があると言えるのではないでしょうか」(同・ライター)

 

猛暑さえも美談に

実は大会創設当初(当時は全国中等学校優勝野球大会)は豊中球場、1917年から23年までは鳴尾球場での開催だった。翌24年、第10回大会で阪神甲子園球場が会場になって以降、“甲子園”の伝統は脈々と受け継がれてきた。

同じ大阪圏である京セラドーム、首都にあるから東京ドーム、日本の真ん中にあって全国から応援に行きやすいからナゴヤドーム――。これらはあまりに安易過ぎて、歴史や伝統を考えると共感を得ることは難しいだろう。

今夏の大会は足をつるなどの暑さによるアクシデントが続出した。そんな中、大会2日目、北照高校の倒れた選手に対戦校の沖学園の選手がコールドスプレーと飲料を渡すという思いやりに大きな拍手が沸いた。

猛暑さえも美談に変えてしまうのが甲子園ならではの美徳と言えるのかもしれない。

 

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