土屋太鳳と芳根京子が「濃厚キス」しまくり!ドキドキ・ホラー映画『累-かさね-』

『累-かさね-』

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『累-かさね-』

配給/東宝 TOHOシネマズ新宿ほかにて全国公開中
監督/佐藤祐市
出演/土屋太鳳、芳根京子、横山裕、檀れい、浅野忠信ほか

土屋太鳳と芳根京子。ともに近年、NHK朝ドラのヒロインを堂々と務め、国民的人気を誇る若手女優2人の初共演作だが、朝ドラの延長線上のような爽やかな代物ではなく、本格ホラーというあたりに食指が動く。清純派なんてそろそろ卒業しちゃえばいい。

原作は“顔の入れ替わり”による「美醜」をテーマにした松浦だるまの人気コミックス。美しさに翻弄される卑屈で愚かな人間たちの業に迫る異色作で、こういう題材に若手女優がチャレンジする意気やヨシではないか。

題名の“累”、芳根演じるヒロインの名前が淵累(ふち・かさね)から、オールド・ファンなら何度か映画化されている『怪談累が淵』を連想するかも知れない。実際、原作者はインスピレーションを受けたと公言している。そして、土屋もまた、撮影の合間を縫って東京にある“累塚”にお参りし、自らの演技と映画の成功を祈ったという撮影裏話もある。

 

一言でいえば“エロ怖い”

幼いころより、顔に傷のある醜い容姿ゆえに、元大女優の母親・透世(檀れい)ゆずりの演技力がありながらも、強い劣等感を抱いてきた累(芳根)は、亡き母が残した口紅にキスすると相手の顔と入れ替わる不思議な力があることを知る。やがて、怪しげな元舞台演出家・羽生田(浅野忠信)の手引きにより、美人だが演技力はない売れない女優ニナ(土屋)と利害が一致し、入れ替わり、スター女優の道を駆け上がってゆくが…。

まるで“口裂け女”のように口元から目尻までパックリと傷が残る芳根のメークが凄い。ピキピキと傷がみるみると広がってゆくあたり、美人女優形無しである。土屋との何度もある“口紅で濃厚キス”の入れ替わりシーンは、ちょっと“レズっぽい”ので、観ている方がドキドキしてしまうのはこちらの目の錯覚か。“2人1役”“1人2役”で目まぐるしく顔が入れ替わり、お互いへの罵倒し合いも激しく熱演するあたり、2人の女優の化学反応が楽しめて、今後の指針も占えるって寸法だ。脇では、浅野忠信がさすがの“怪演”で、まるでメフィストのような“悪魔のささやき”を醸している。

佐藤祐市監督は『ストロベリー・ナイト』(13年)で竹内結子を、『脳内ポイズンベリー』(15年)で真木よう子をエロく撮ったのが良かった。今回もカラオケ店でのレイプ未遂やラブホ・シーンもあるが、マイルドなもの。さては、若手女優に遠慮したのかな、とゲスの勘ぐりを入れてしまうね。とはいえ、一言で言えば“エロ怖い”雰囲気は十分にある。若いコ好きの中高年も観て損はないはずだ。

 

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