築地市場の豊洲移転・開場が10月11日に決まったが、小池百合子東京都知事による移転延期はどういう効果があったのだろうか。
市場移転の延期による豊洲での付加費用や遅れによる機会損失、多くの関係者への補償などは莫大な額になるだけではなく、そのために環状2号線道路工事が延期されたことによる影響は大きい。そうした損害を少しでも補えるような「効果」があったのか、小池知事は明確に説明する責任があるはずだが、今のところなしのつぶてだ。
そこにまさかの事態だ。東京都は9月11日、豊洲市場の仲卸売場棟の建物と舗装の接点部分に幅10メートル、深さ5センチのヒビ割れが発生したと発表した。
原因は地盤沈下だ。都は昨年秋には気付いていたが、仲卸業者が指摘するまで隠していた。関空もただでさえ地盤沈下している中で、台風21号に“撃沈”されたし、日本の沈没を予期するような事態が続く。
「実際に市場が稼働したら、当然ながら建物外では重い荷物を積んだトラックなどが行き交うことになります。地盤沈下は時間がたてば都の言う『収束する』どころか、悪化の一途をたどるのではないでしょうか」(都政担当記者)
小池都知事では東京五輪は前途多難
さらに環状2号線の完成延期に至っては「国際公約違反」との声も出ている。
「五輪誘致に乗り出した都は競技会場を集約する『コンパクト五輪』を標榜し、選手や観客の移動がスムーズな大会運営を国際オリンピック委員会(IOC)にアピールして、他の候補地から招致をもぎ取っています。『環2』の整備は『コンパクト五輪』の根幹だったのです。お盆のころは首都高が最も混雑する時期であるのに、オリンピック開催が重なれば、その混雑、混乱は相当なものになるでしょう。『環2』なき現状では、心配されている酷暑も含めて、2020年の東京五輪は前途多難のように思えてなりません」(同・記者)
昨年の10月に発売された月刊誌『文藝春秋』で、小池知事は「希望の党代表・東京都知事」という肩書で「私は本気で政権を奪う」という論文を寄せている。サッチャー元英国首相の言葉を引用し、「今の日本をリセットしなければならない」と説教を垂れていたが、リセットすべきは小池知事の方だろう。