中国の『シェア自転車』ついに崩壊!?「画期的なシステム」の落とし穴

(C)Zapp2Photo / Shutterstock

シェア自転車などを始めとする中国の「シェアリングエコノミー」は、世界から熱視線を浴びていた。日本にもある従来型のシェア自転車サービスは、規定の駐輪場で自転車を借り、同じく規定の駐輪場で返すという仕組みだが、中国発のシェア自転車は、街のどこでも乗り捨て自由と、まるで使い勝手が違う。

自転車を使いたい場合には、街のあちこちに放置されている自転車を探してスマートフォンで解錠し、行きたい場所まで乗って行き、そこに乗り捨てることが可能。専用駐輪場まで行かなくても済むため、利便性が極めて高いのだ。

「中国の『新4大発明の1つ』とまで持て囃されたシェア自転車ですが、現在シェア自転車は街のゴミと化しています。昼間に乗り捨てられた自転車は、夜にトラックで乗り付けた“整頓部隊”によって定位置に戻されるのですが、最近は乗り捨て自転車の数があまりにも増えすぎて回収が追い付いていないのだそう。その結果、歩道は乗り捨てられた自転車だらけで、歩くのもままならないほどに。都市生活を便利にするはずのシェア自転車が、逆に街の混乱を招くという結果になったのです」(在日中国人ジャーナリスト)

 

「シェア自転車の墓場」まで出現する始末

すでにいくつかの都市では、政府が規制に乗り出している。シェア自転車の利用には個人情報の登録が必要なので、罰金の対象者を割り出すことが可能だ。上海市では、シェア自転車を停める専用スペースを設置し、そこに停めない者には罰金を科すようになった。だが、中国のシェア自転車システムが破綻したのは、使用者のモラルの問題だけではない。

「運営会社が次々に参入し過当競争になったことで、路上に自転車が溢れ返ったのです。地方政府は当初、運営会社に補助金を出すなどして誘致までしましたが、今では供給過剰な状態がどこでも起こっており、運営会社も薄利によって倒産。自転車だけが溢れかえってしまいました」(同)。

大手でも経営は厳しく、乗り捨てられた自転車の回収はままならないという。おびただしい数の自転車を集めた保管場は「シェア自転車の墓場」と呼ばれている。中国が身をもって、シェア自転車の危険性を証明してくれたようだ。

 

【あわせて読みたい】