優秀な球児が『日本プロ野球』をスルーして海外へ「流出」する未来

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今年から阪神甲子園球場に高性能弾道測定器「トラックマン」が設置されている。『阪神タイガース』は、打球速度、飛距離、スイングスピード、投球回転数をデータ化できる「トラックマン」を、選手の育成・指導に活用しているという。しかし、今夏の『第100回全国高等学校野球選手権記念大会』では、その数値がテレビ画面に映されることはなかった。

「準々決勝までに、4試合連続2桁奪三振など大会ナンバー1投手と称された『秋田県立金足農業高校』吉田輝星の球速は、アベレージが140キロ前半から中盤で、最速は150キロでした。高校時代から悠々150キロ以上を連発していた大谷翔平や藤浪晋太郎ほどの驚異的なスピードではない吉田ですが、なぜか直球で空振りが奪うことができます。その理由は回転数が多いか、リリースポイントが打者寄りで球持ちがいいのかのいずれかですが、それが『トラックマン』なら分かるのです。『トラックマン』は打者を分析するのにも有効。例えば『大阪桐蔭高校』藤原恭大の打球は、打たれた投手が『一瞬で顔の横を通り過ぎた。新幹線みたいだった』と評したほどの打球でしたが、この打球スピードだって表示することができるのです」(スポーツライター)

阪神は吉田の回転数も藤原の打球速度も把握し、今秋のドラフト会議のデータにすることはできたが、敢えてそれをしなかったという。その理由は、「高校球児のデータを独占しない」「米球界へのデータ流出阻止」という2点においてだ。

測定値は、『トラックマン』米国本社にも転送されるから、それがメジャー球団に流れてしまうと「青田買い」の温床になりかねない。だから春夏の甲子園大会期間中、トラックマンを作動させていないらしい。

 

人材流出の流れは止められない?

とはいえ、日本の高校や大学に進学せず、史上最年少の16歳でメジャー球団の『ロイヤルズ』と契約を結んだ結城海斗くんという例もある。

「結城くんのようなスーパー中学生球児が現れた背景には、高校を卒業して直接メジャーへ行くことが事実上不可能になっているという事情があります。もし結城くんが成功すれば、『トラックマン』のデータ流出防止くらいでは人材流出を食い止めることができず、有望な中学生や高校生が日本プロ野球を経由することなく、次々に海外へと行ってしまうでしょう」(同・ライター)

日本でスター選手を見られるのは、『甲子園大会』だけになるかもしれない。

 

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