ファン・ビンビンの脱税で明らかになった中国共産党の独裁支配

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3カ月以上にわたって姿を消していた世界的な中国の女優「范氷氷(ファン・ビンビン)」の脱税疑惑に対し、中国の新華社は、日本円で約23億4000万円相当の脱税行為が明らかになったと伝えた。また刑事訴追には至らないとする捜査結果も発表している。

記事によると、ファンさんは映画「大轟炸」(18年10月26日公開予定)に出演した報酬として3000万元(約4億9700万円)を受け取ったが、契約書に報酬を1000万元と書き込むなどで残りの2000万元分について脱税したという。脱税額は個人所得税分が618万元、営業税分などが112万元で、合計730万元(約1億2100万元)になる。

さらに、ファンさんが法定代表人を務める企業も納税額が2億4800万元不足しており、うち1億3400万元(約22億2000万円)分が脱税と認定された。ファンさんは個人分と法定代表人を務める企業分の合計で、約23億4000万円分の脱税に関与していたことになった。

脱税と言っても不正書類や偽造書類、二重申告など中国の芸能界ではごく当たり前の手口で、当局も認めてきた範疇のため、刑務所入りは避けられたようだ。

彼女のファンたちも、刑期終了後、すっぴんで記者会見に臨まされる“公開処刑”だけは見たくないらしい。過去にも大物女優が、こうした社会的制裁の屈辱を味わってきたからだ。

 

独裁体制とAI、まさにディストピア

しかし被害を被ったのは中国国内だけではない。世界的なブランドの広告塔としても彼女は活躍しているからだ。CM契約では『モンブラン』『デビアス』『ルイ・ヴィトン』など世界の一流ブランドのCMに出演していたため、広告主としてはCMの自粛、中断、契約違反による訴訟もさることながら、大きなイメージの損壊と受け取っている。

ファンさんの行方不明では「中南海の権力闘争か」「共産党の陰謀」、もしくは「軍」というキーワードが日本でも報じられたが、中国共産党の独裁支配とデジタル全体主義が、いまや巧妙な財務申告のウソを見破れるAIを駆使して、すべての国民の税務申告を厳格に審査し出したということで落ち着くのではないだろうか。

 

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