民主党「高校無償化」の結果「学校に行けない子ども」が増えている

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家計の教育負担を軽くするために低所得世帯に支払われる「奨学給付金」について、会計検査院が12府県を対象に調べたところ、2017年度に給付を受けながら授業料以外に学校が徴収する教育に関する諸費を払えない高校生が、約1000人いることが分かったという。教育費未納を理由に除籍などの処分を受けた生徒も、この4年間で約190人いたとも。

これは貧富の差というより、実態を知らずに制度を改悪したせいではないか。

現在、高校生には「奨学給付金」と「就学支援金」(いわゆる高校授業料無償化)という2つの支援制度がある。前者は授業料以外の経費の補助で、後者は授業料の補助だ。要するに前述したような教育困難者が存在し、授業料の補助を受けても、教科書さえ買えずに学業を諦めるという本末転倒な事象が起きているということになる。

「例えば都立高校全日制の年間授業料は約12万円ですが、それ以外に学業に関しては、教科書費や教材費、修学旅行の積立金、学用品費や通学用品費、校外活動費、生徒会費、入学学用品費などがかかります。14年度に始まった『奨学給付金』は、高校生がいる低所得世帯を対象に、国が一部を補助して都道府県が年3万2300~13万8000円(いずれも18年度)の支給が受けられます。授業料以外にかかる費用負担の軽減が目的とされていますが、例えばPTA会費が年間授業料と同額徴収される学校もあり、授業料を免除されたところで、負担の大きい出費となるのです」(教育ジャーナリスト)

 

安易な制度改革は逆効果

ある東京都立高校によると、実験材料を使えない生徒や、約10万円の費用が払えずに修学旅行を諦める生徒もいたという。

「高校無償化が民主党政権によって叫び始められたころ、これは改悪になるのではと思いました。というのも無償化以前の所得制限制度では、ある一定の所得以下の世帯の子弟は、授業料もPTA会費(1、2年次だけ)も修学旅行費もタダにしてくれたのです。それが授業料無償化という美名のもと、タダから補助に変わってしまった。本当に貧しい世帯にとって、負担はより大きくなったのです」(同・ジャーナリスト)

庶民の生活実態を知らないお坊ちゃま、お嬢ちゃまが、頭だけで考えるからこうなるのだ。

 

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