55年ぶり『ノーベル物理学賞』女性の受賞… 欧州男社会の実態

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女性の役員や政治家が少ないと日本を非難する欧州の国々。しかし他国のことをとやかく言えるのだろうか。このたび、カナダ・ウォータールー大学のドナ・ストリックランド博士がノーベル物理学賞は受賞したのだが、女性としては55年ぶりのことだという。

同博士は1903年のマリー・キューリー氏、1963年のマリア・ゲッパート=マイヤー氏に続き、同賞を受賞した3人目の女性。ちなみに同賞の賞金は900万スウェーデンクローナ(約1億1500万円)だ。

今回の物理学賞はストリックランド氏と、米ベル研究所出身のアーサー・アシュキン博士、および米ミシガン大学のジェラール・ムル博士との共同受賞になる。功績はレーザー物理学分野での成果が認められたことだ。

米国物理学協会(AIPP)は声明で3人を祝福し、「3人の功績によって、視力矯正手術やペタワット級の強力レーザー、ウイルスやバクテリアを捕まえて研究する方法など、数え切れない応用技術が可能となった」と賛辞を送った。

 

相変わらず「男社会」の日本

実は物理学界では9月末に、ある“事件”が起きていた。欧州原子核研究機構(CERN)が主催したワークショップで、男性科学者が「物理学は男性によって成り立った」と発言し、CERNは1日、この科学者を即日、出入り禁止処分としたのだ。

ひるがえって日本における「女子格差」はどうか。周知のように大学医学部受験で、女子が差別的に扱われていることが発覚。4年制大学進学率でも、全国の45道府県で男子より女子の方が低く、男子と最大で約16ポイントの格差があることが「朝日新聞」により指摘されている。

今春、女子の大学進学率は初めて5割(全国平均)に達したものの、男子より約6ポイント低い。同紙の試算によると、女子が男子を上回ったのは東京都と徳島県のみで、男女格差が最大なのは山梨県だそうだ。

いまだに「女が大学なんて」という意識の残る日本では、女子のノーベル賞受賞など夢物語だろう。

 

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