矛盾!学生を『拘束』しながら「勉強しろ」という日本企業の身勝手

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日本の改革派が「米国型株主資本主義」を目指すべきとの主張を相変わらず続ける一方で、アメリカにはその対極へと導こうとしている政治家がいる。20年の米国大統領選で民主党の有力な指名候補と見られるエリザベス・ウォーレン上院議員だ。

「ウォーレン氏は、日本特有の資本主義とされる『ステークホルダー・モデル』へアメリカを移行させることを目的とする『責任ある資本主義法』を提案しているのです。ウォーレン氏は、米国で過去30年にわたって最重要視されてきた『株主重視モデル』を覆し、アメリカ企業と労働者がともに豊かだった以前の時代へ回帰することを目指して、草案を作成したというわけです」(在米日本人ジャーナリスト)

 

日本の酷すぎる企業たち…

そんな折り、米国が見倣おうとしている日本で、経団連の中西宏明会長の発言が総スカンを食っている。「大学は学生にしっかり勉強させろ」という会長発言に対して、「学生の学業を軽視しているのはむしろ企業側だ」との指摘が各方面に広がっているのだ。

9月25日に行われた中西会長の定例記者会見での発言の骨子は以下の内容だ。

《日本は入学することに比べて、卒業することはさほど難しくない。企業の側もこの実態をそのまま受け止めてしまっている。学生がしっかり勉強するよう、大学には有意義な教育を実施してもらいたい》

「会長は、内定が出たら『内定後のインターンに呼ぶ』あるいは『10月1日には一斉に内定式を行う』などバカバカしい『縛り』をする企業側の勉強妨害をご存じないとみえる。企業側は、内定者に『他に逃げられては困る』のでこうした拘束をかけて、学生から勉強の時間を奪っているのです」(経営ジャーナリスト)

経団連が『大学での教育の重視』を指摘することのおかしさは、企業側が学生の時間を拘束しているからだけではない。

「企業側は大学での学業を尊重していないとしか思えない事例がたくさんあります。例えば、学生のマーケティング専攻を『当社とは異なる色が付いているので洗い流せ』ということで全否定するケースです。特に文系の場合は、企業側が大学での教育内容を尊重しないケースは山のようにあるのです」(同)

米国は日本型経営の実態を知らないと見える。

 

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