暴行・凌辱された娘のカタキを討つ“ダイ・ハード親父”『デス・ウィッシュ』

『デス・ウィッシュ』

 

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『デス・ウィッシュ』

配給/ショウゲート 10月19日よりTOHOシネマズ日比谷ほかで全国公開
監督/イーライ・ロス
出演/ブルース・ウィリス、カミラ・モローネほか

往年のアクション・スター、チャールズ・ブロンソンの当たり役となったいわゆる“デス・ウィッシュ”シリーズの第1作『狼よさらば』(71年)を、こちらも当たり役でシリーズとなった『ダイ・ハード』(88年)のブルース・ウィリスでリメークしたらオリジナルを超えられたのか? が最大の注目だろう。オリジナル超えのリメークなんてそうザラにあるものじゃないからだ。

外科医のポール(ブルース・ウィリス)は、自分の留守中に妻子が襲われ、妻(エリザベス・シュー)が殺され、娘(カミラ・モローネ)は“凌辱暴行”され、瀕死の重傷で昏睡状態に陥ったままとなる。怒りに燃えるポールは、ラチのあかない警察の捜査に業を煮やし、独自で復讐に乗り出す…。

オリジナルのブロンソンはどうしても設計技師には見えなかったが、ウィリスは外科医に無理なく映る。この外科医に設定職業をチェンジしたのも納得で、悪党を拘束して「ここが神経で一番痛いところだ」とうそぶきながら、メスなどで喜々として責め立てる。これはオリジナルにはない趣向だ。今回の監督イーライ・ロスは、女性旅行者を監禁して拷問にかける『ホステル』(05年)、美女を蒸し焼きにして食おうとする食人族を描いた『グリーン・インフェルノ』(13年)、キアヌ・リーブスが2人のエロチック美女に“色責め”に遭う『ノック・ノック』(15年)など外道でゲスな映画で知られ、ボクのご贔屓監督なのだが、今回も本領発揮のエグい演出で魅了する。まあ、彼も人の子なのか、現在公開中の『ルイスと不思議の時計』では珍しくご家族向けファンタジー映画に挑んでいるけれど。

 

女優陣は圧倒のオリジナル超え

で、オリジナルも見直したが、ブッちぎって勝っているのが、女優のグレードだろう。旧版でこの母娘を演じた女優さんたちの地味感に比べ、こちらの美熟女エリザベス・シューと超絶美貌のカミラ・モローネのパツキン母娘のゴージャスさはどうだ。あえて競馬用語で表現するなら、500万下とGⅠ級ぐらいの差がある。特に娘役のカミラ嬢は特筆もの。モデルあがりで、レオナルド・ディカプリオの新恋人ともウワサされたほど。レオ君も性懲りもなく好きだよね、このタイプ。気持ちは良く分かるけど。

冒頭の“落花狼藉”シーンの恐怖の表情も、病室で意識不明のまま横たわる痛々しい姿まで、ウ、美しすぎるぜ。これまでの作品で、セクシー美女にこだわってきたロス監督の審美眼は確かなもの。オリジナルの主戦監督マイケル・ウィナーってあまり女優のグレードに関心なさそうだったしね。

とにかくウィリス親父が、「こんな美しい大事な娘をキズものにしやがって、てめえら、人間じゃねえ! 全部まとめて地獄にたたき落としてやらあ」と激怒するのも無理もないよなあ、と観客に思わせる説得力十分! 主演とヒロイン、“外道”監督ロスのおかげで、軽々とオリジナル超えの希有の例となった。秋の一番のお勧め作!

 

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