“サウジ記者殺害”を思わせる社会派サスペンス!『バグダッド・スキャンダル』

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『バグダッド・スキャンダル』

配給/アンプラグド 11月3日より新宿シネマカリテほかでロードショー
監督/ペール・フライ
出演/テオ・ジェームズ、ベルシム・ビルギンほか

サウジに批判的なサウジ人記者ジャマル・カショギ氏がトルコのイスタンブールの総領事館で殺害された事件は、国際問題に発展し、あらためて権力者による謀殺の恐怖を浮き彫りにした。そこで思わず連想したのがこの実録社会派サスペンスの新作。実にタイムリー!

イラク戦争直前の今世紀初頭、経済制裁に苦しむイラク市民への人道支援の見地から行われた国連の“石油・食料交換プログラム”。額面通りなら素晴らしいが、邦貨で年間1兆円超の巨額の予算ゆえ、賄賂や不正が起こり、国連の一大スキャンダルに発展してゆくのだ。

国連職員となったマイケル(テオ・ジェームス)は、女性所長のデュプレ(ジャクリーン・ビセット)が、この“石油・食料プログラム”の破綻と欺瞞を告発する用意でいることを知る。マイケルはバグダッドでクルド人女性通訳ナシーム(ベルシム・ビルギン)から、自分の前任者が国連内部のある情報を知ったため殺された、と打ち明けられる。やがて、デュプレの突然の訃報が伝えられ、このプログラムに関わる人物の相次ぐ不審死が浮き彫りとなる…。

 

国連の調査協力拒否により真相は不明…

メッセージ性も高い真摯な力作だが、“映画は女優で見る”者としては、やはり最初に美人女優に目が行き“美形拝み比べ“をしてしまうね、ジャクリーン・ビセット、ベルシム・ビルギンの新旧美女競演はハイレベル。ビセットはボクが十代のころ『ブリット』(68年)を見て、世の中にこんなキレイな人がいるのか、とうなったほど。その後も人気女優であり続け、最近では『2重螺旋の恋人』(17年)がある。70代半ばになっても国連の熱血所長役をこなせるのだから立派の一語だ。そりゃ加齢も感じるが、小じわも含め、依然としてお美しい。

一方、ビルギンは若いころのビセットをエキゾチックにしたような美形のトルコ女優で、つい見比べてしまったほど。命がけで行動し、フセインによって虐殺されたクルド人墓地に佇む深い悲しみと怒りの表情が印象的だ。

こうして“新旧美女”を拝みつつ、謀殺の恐怖と国連の闇もヒシヒシと感じてほしい。ここではベン・キングズレーが演じる国連事務次長の不正が取り上げられているが、結局国連の調査協力拒否により、現在も真相は不明だそうだ。国連が今一つ信頼されないのは、こういう前歴があるからかも知れない。

前記の“サウジ記者謀殺事件”もまた真相はウヤムヤにされるのか。何年後かに映画化されるかも。その際には、サウジ記者役をジャン・レノに演じてほしい。何しろ、よく似ているんだから!

 

【あわせて読みたい】