北朝鮮・金正恩の実兄「正哲」は“消えた”だけか、『消された』のか!?

画/彩賀ゆう (C)まいじつ

世界からの注目が何かと集まる金正恩朝鮮労働党委員長と妹の金与正(キム・ヨジョン)党中央委第1副部長だが、それに比べるとすっかり動静が聞こえてこないのは、正恩氏の実兄、金正哲(キム・ジョンチョル)氏だ。

果たして、生きているのだろうか。

16年夏に韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使が、今年初めの1月25日、ソウル外信記者クラブで記者会見を開いた際、この席で正哲氏について「政治に関心がなく役職もない。音楽に関心があり、有能なギタリストだ」と語ったことがある。

太氏は亡命した北朝鮮の政府関係者としては最も地位の高い人物の1人。ちなみに太氏が5月に発売した『3階書記室の暗号 太永浩の証言』は、すでに10万部を超えベストセラーとなっている。同著には正哲氏が、15年にエリック・クラプトンのコンサートをロンドンに見に行ったときの様子が詳細に語られている。

「正哲氏は北朝鮮国内で『新星組』というロックバンドを組むほど、欧米のロックやポップスを好んでいるといわれています。正哲氏は太氏を従え、同市内の有名な楽器商店街にある店に入り、ギターを手にして即興演奏をしました。するとギタリストでもある店の主人が近寄ってきて『アルバムを出したことがあるのか。名前を教えてほしい』と聞いてきたほどの腕前だったと記されています」(北朝鮮ウオッチャー)

 

側近に対して超わがまま

太氏は、ロンドンに滞在した正哲氏の超わがままぶりに呆れる。

《レコードを買いたいと正哲氏、「どこも閉店しており無理です」と太氏が説明しても「電話するか、シャッターをたたくなりして店を開けろ。そのくらいの人脈もないのか》

《宿泊先は高級ホテルのサボイのスイートで、1泊2000ユーロ(約26万円)、太氏の給料の2カ月分だった》

《ホテルのクリーニングサービスは終わっているのに、クリーニングに出せと言い出し、太氏は24時間営業のクリーニング店を探し出した》

北朝鮮でもこのような傍若無人に振る舞っていることが手に取るように分かる逸話だ。

その後、正哲氏の消息はほとんど分かっていない。ひょっとするとディズニーランドに行きたいと言い出し、父正日総書記の逆鱗に触れ、後継者の座から追われた義兄・正男氏の二の舞のような状態になっているのかもしれない。

なお正哲氏の妻は、北朝鮮の有名なモランボン楽団で、ギターを担当しているカン・ピョンヒという女性だとされている。子どもは男の子が1人いるようだ。

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