シルエットで「妄想」をかきたてるセクシーおもちゃ

これまでにも『ヌードペン』『ヌードパイプ』『ビックリヌード箱』など、さまざまな紳士御用達のおもちゃを取り上げてきました。

今回はそれらよりさらに古い“逸品”を紹介しましょう。古色蒼然とした雰囲気のいいものなので、ちょっと見てみてください。

直径5センチ、高さ1センチほどの鉄パイプを輪切り状にした枠の前後に、2枚の薄いガラス板がはめてあります。その中に、裸の男女をかたどった薄い鉄板を抜き加工した人形が挟み込まれるように入っています。

2体のヌード人形は手や脚の関節が自由に動くようになっており、この枠を手に持ってゆするとガチャガチャと動いて、いろいろなポーズを取りながらくっついたり離れたりします。

それが、まるで男女がいろいろな体位で交わっているように見える、かなりムフフな大人の影絵的なおもちゃなのです。

女性の裸を見て楽しむ類いのおもちゃやジョークグッズ、欧米でハードコアポルノが解禁された1970年代半ば以降に作られた、男女が直接まぐわうアクションをするタイプのものなどはよく見受けられますが、それ以前の時代から性交を扱った手の込んだおもちゃがあったとは驚きでした。

いろいろと調べたものの詳細は分からずじまいなのですが、私の想像するところでは、必需品ではないおもちゃに金属を使うなどという余裕が社会にあったわけですから、戦前、それも「エロ・グロ・ナンセンス」が流行した昭和初期=1930年代前半ごろのものではないでしょうか。

日中戦争勃発1年前の1936年ごろからは、国による表現物への検閲が苛烈になり、加えて太平洋戦争開戦ともなると、国内の資源に乏しい日本では武器生産に必要な金属資源の不足を補うため、あらゆる階層から所有している金属類が供出されることになりましたから、この類いの金属玩具でさえ国に召し上げられた可能性が高いと推察されます。

出回っていた当時、そんなに安いものではなかったと思われるこのおもちゃを買えたのは、それなりに裕福な紳士だったでしょう。いい紳士がこんなエッチなおもちゃでガチャガチャと遊んでいられたなんて、とても豊かな時代だったのだと思います。

軍事利用のために物資が足りなくなり、おもちゃが作られなくなる、なんて時代が二度とこないよう切に祈ります。

(写真・文/おおこしたかのぶ)

 

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