セクシー美女で描くNY日本人高級クラブの裏の顔『MAKI マキ』

『MAKI マキ』

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『MAKI マキ』

配給/ユーロスペース 11月17日よりユーロスペースほか全国順次ロードショー
監督/ナグメ・シルハン
出演/サンドバーグ直美、ジュリアン、原田美枝子ほか

ニューヨークには行ったことはないが、外国の都市にある日本人クラブというのは興味津々ではある。かつて香港で向こうの映画人と一緒に行った“日本人クラブ”は妖しい雰囲気がいっぱいだった。

ありそうだけど、意外となかった題材…そんな異国の地で蠢く日本人女性たちの生態を、イランの新鋭女性監督ナグメ・シルハンがリアルに描いたドキュメンタリー・タッチの注目作だ。

ニューヨーク。ミカ(原田美枝子)の経営する日本人高級クラブで、マキ(サンドバーグ直美)は通称“エヴァ”として働いている。英語もロクに話せないまま彼氏を追って、日本を飛び出して数カ月。今はこの店のボーイのトミー(ジュリアン)と暮らし、実はお腹には彼の子供が宿っていた。クラブ内は恋愛禁止のこの店で、ママのミカにそれを気付かれてしまい、ママはある提案をするが…。

 

高級クラブの“裏商売”とは…

知られざる海外の日本人高級クラブの実態! というほどセンセーショナルではないが、こういう“裏商売”もアリだな、ということを実感させること請け合い。ヒロインのサンドバーグ直美は、映画初挑戦のモデル兼女優で、ホラン千秋にも似たエキゾチックな顔立ちで、ショートカットが似合う長身美女でなかなか魅力的だ。思わず“指名”したくなるほど。覚えておこう。イメージ・ショットで、水中に彼女があおむけに浮かぶシーンで、キャミのような薄物越しに透けて見えそうな肢体がステキ。水中分娩で出産の際、バスタブのような中で披露する裸身もスレンダーながら肉付きは悪くない。

多少、ネタをバラすようだが、その“裏商売”とは、店の女の子をボーイに妊娠させ、異国では育て切れないからと、養子に出すことの因果を含めるという“養子ビジネス”。アジア人の赤ん坊は人気があるという。これを仕切っているママ役に原田美枝子を起用したことで、彼女が扇の要となり、映画がグッと引き締まった。

原田といえば、若いころ『恋は緑の風の中』(74年)、『地獄』(80年)などで大胆に“完脱ぎ”し、そのF級のバストが話題になったものだ。演技力はもともと定評があり、年末には還暦を迎えるが、美貌はさほど衰えず、一種の“悪役”とも言える海千山千の、同時に孤独感も漂わすクラブ・ママを堂々たる貫禄で演じ、お見事!

モデル・セクシー系美女でつづるNY日本人高級クラブ“裏”巡り。常連客たちの会話もナマっぽい。約90分の小品だが、シルハン監督の贅肉のない演出に好感が持てた。

 

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