『辛子高菜』が消滅!? みんな大好き「ラーメンのお供」がなくなるワケ

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昔は捨てていたり、積極的には食べられていなかったのに、調理法や保存技術の確立などによって人気食材になってしまうことがある。

例えばホルモン。「放(ほお)るもん」という認識からその名が付いたという俗説もあるくらい食用としての価値は低かった。寿司における看板ネタであるマグロは、江戸時代には「外道」とされ、傷みやすいトロに至っては、冷凍技術が確立する1960年代まで捨てられていた。日本では古くから食べられているイクラも、海外では内蔵とともに捨てられることもあった。

ウンチクはこれくらいにしよう。庶民の味「豚骨系ラーメン」は、豚骨が廃棄物だったからこそのコストパフォーマンスの良さで成功したが、それが今や需要拡大で、豚骨自体が稀少になっている。

その豚骨ラーメンに欠かせない「辛子高菜」が全国的に不足している。今年の5月ごろ、豚骨ラーメンのトッピングとして有名な辛子高菜が全国的に不足していることが報道されたが、その原因は「高菜」が、豚骨ラーメンだけでなく、おにぎりの具やパスタ、高菜チャーハンなどに用途が広がり、需要が伸びているからだ。

「ところが需要拡大の割には、その生産量が激減しているのです。全国的に高菜を使った漬物も不足しており、豚骨ラーメン屋などへの提供を控えるところも出てきています。不足している原因は、高菜栽培を手掛ける農家が次々と離れていっているためです。重労働にもかかわらず、それに見合う収入が得られないのです」(グルメライター)

 

重労働な上に卸単価も安くては…

高菜とはアブラナ科の越年草で、カラシナの変種として知られ、20~60センチほどの丈まで成長する。1株は大きいものだと1メートル近くにもなる物もある。近縁の野菜として、小松菜やカツオ菜などが知られるが、白菜のように地面から葉を広げて生える。

「しかも機械では収穫できないので、1個ずつ身をかがめてカマで切り取る必要があるのです。これは老齢の農家にはかなりキツイ作業です。収穫した高菜は一定期間、高いところに干しておきます。高菜は1つ数キログラムと重いので、運んで持ち上げて干す作業も重労働になります。しかも重労働に見合う価格では売れません。単価で考えると、ナスは1000平方メートルあたり15トンを収穫できて、1キログラムあたり360円ほどで売れますが、高菜は同面積当たり3分の1の5トンしか収穫できない上に、1キログラムの単価も9分の1の42円程度とかなり安い。高菜の生産は、重労働で収穫できる量も少なく、単価も安いというのが現状ですから、農家にしてみれば、別の農作物を作った方がいいと、高菜離れが進んでいるのです」(農協関係者)

食べ物の栄枯盛衰、これも時代か。

 

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