“元恋人”逮捕の夏帆が、不倫女子アナに挑戦『きばいやんせ! 私』

『きばいやんせ! 私』

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『きばいやんせ! 私』

配給/アイエス・フィールド 有楽町スバル座ほかで全国公開
監督/武正晴
出演/夏帆、太賀、鶴見辰吾、岡山天音、愛華みれ、伊吹吾郎ほか

不倫騒動でたたかれた女子アナが、祭りの取材で〝復活〟を目指すという〝町おこし〟〝自分おこし〟ムービーで、ヒロインがごひいきの夏帆なのが個人的にポイント高し。でも、夏帆ちゃんたら、例の派遣型マッサージ店の個性従業員に対する強制性交容疑で逮捕された俳優の新井浩文の〝最後の恋人〟として、夕刊紙などで取り上げられたため、とんだトバッチリなのだが、ゴシップ・ヒロイン役を演じる映画がこの時期公開されるのは、タイミングが話題性でグッドなのか、マイナスイメージでバッドなのかビミョーなところ。まあ「悪名は無名に勝るから」と夏帆ちゃんを励ましたい。

不倫騒動のバッシングで左遷され、やる気ゼロの女子アナ・児島貴子(夏帆)は、面倒くさそうな祭り取材の企画を押し付けられ、かつて子供時代に過ごした九州最南端の町・南大隅町に伝わる祭りを取材することになる。町の案内役を託されたのは、貴子の幼なじみで、畜産業に携わる太郎(太賀)だった…。

 

夏帆のなりきり演技が今作も凄い!

スキャンダルまみれの〝クソ女〟のまんまじゃ終われない、と一念発起するヒロインの崖っぷちの心境が、題名にもなっている〝きばいやんせ!(鹿児島弁で頑張れ)、私〟につながるわけだ。地方の町おこしにも祭りにもあまり興味のないボクにとって、夏帆の一挙手一投足が目当て。加えて、監督の武正晴、原作・脚本の足立紳は、ボクの大好きな『百円の恋』(14年)のコンビでもある。でも、この『百円の恋』、主演の安藤サクラの相手役は、あの新井浩文なので、イヤなこと思い出すなあ。事件を起こさなければ、彼もいい役者だったのに…。今さら言っても手遅れだけどね。

夏帆に戻ろう。ドツボの〝クソ女〟ぶりを熱演して清々しい。冒頭から「フリンが何だっていうのよ。犯罪者じゃないんだからね」とボヤく、グチる。やたら酒が強いという設定なので、ヤケ酒、泥酔、酒乱シーンもいっぱい。呑んべえばかりの鹿児島県に行っても決してヒケはとらず、焼酎あおりまくり、伊吹吾郎扮する町のうるさ方の長老にも食ってかかる始末。おまけにラストは顔が泥まみれ。こんなあられもない姿に堂々と挑むのは彼女の女優魂のなせる技だ。

テレビの『みんな! エスパーだよ!』(13年)で、パンチラのヤンキーっぽい女子高生を演じ、人気女優に。昨年の映画『友罪』では元AV嬢に扮していた。この振り幅の広さが彼女の魅力! 現在、逆風かも知れないが「きばいやんせ、夏帆!」とエールを送りたい。

 

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