本来の趣旨からかけ離れてしまった「ふるさと納税」に生みの親の菅義偉官房長官も苦言

「ふるさと納税には、地方創生という理念があるはずなのですが、実際には、ふるさと納税で受けられる控除の上限額が、昨年から2倍に引き上げられたことなどが、寄付金額の大幅増の要因になっています。自治体別に見ると、宮崎県都城市が42億3100万円で最も多く、静岡県焼津市、山形県天童市と続く。菅義偉官房長官が、総務相時代に提唱したものですが、会見で『家電や商品券はいかがなものか』などと述べ、制度の趣旨にそぐわない返礼品を贈る地方自治体に苦言を呈していました。本来の趣旨からかけ離れているのが実情です」(担当記者)

ふるさと納税とは、応援したい地方自治体に寄付すると、2000円の自己負担を超える額が所得税や住民税から控除される。“納税”という名称だが、実際には都道府県や市区町村への寄付で、その理念は地方創生から生まれた制度だ。

この、ふるさと納税には、3つの大きな意義がある。

第一に、納税者が寄付先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。つまり、税に対する意識が高まり、納税の大切さを自分のこととして捉える貴重な機会になる。

 

第二に、生まれ故郷や応援したい地域の人を育て、自然を守り、地方の環境を育む支援になること。

第三に、自治体が国民に取り組みをアピールすることで、ふるさと納税を呼び掛け、自治体間の競争が進むことだ。