CAとの“騎乗位”が見どころ!? 車椅子作家の波乱人生ドラマ『ドント・ウォーリー』

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『ドント・ウォーリー』

配給/東京テアトル ヒューマントラスト有楽町ほかにて全国公開
監督/ガス・ヴァン・サント
出演/ホアキン・フェニックス、ルーニー・マーラほか

昔から、ハンディキャップ映画は苦手。もちろん、現実においてはハンディのある人に配慮することはやぶさかではないが、映画となるとどうも偽善めく。車椅子の漫画家が主人公の実話であるこの新作もその1本かと思ったが、「鉄ちゃんが喜ぶシーンがあるよ」と同業のK君に勧められたのと、監督が、指が大きくて最強のヒッチハイカー美女をユマ・サーマンが演じた『カウガール・ブルース』(93年)とかニコール・キッドマンが夫殺しを若い愛人に命じた“お天気お姉さん”に扮した『誘う女』(95年)など〝毒〟のある作風が好みだったガス・ヴァン・サントなので重い腰を上げたというわけ。

酒浸りの生活を送るキャラハン(ホアキン・フェニックス)は、パーティーで知り合ったデグスター(ジャック・ブラック)の車に乗って交通事故に遭う、命は取り留めたが、車椅子生活に。失意の彼に、セラピストのアニー(ルーニー・マーラ)は優しく寄り添い、やがてキャラハンは風刺漫画家として活躍することに…。

 

ヒューマンを味わうのもよし、エッチを味わうもよし

前向きなセラピー映画ではあるので、ガス・ヴァン・サント監督の〝毒〟よりも〝甘さ〟が残るのは事実。これが本当の〝ガス抜き〟か? と毒舌をかましたいところだが、性的なものを避けていないのはさすがガス監督! で、同業K君のお勧めだが、断酒会のリーダーに「何でもいいから、信じるに値する神を持て」とアドバイスされると、キャラハンが「ラクエル・ウェルチのアソコ」と答えるところかな。何を隠そう、ボクはこの〝20世紀最大のグラマー〟と形容された彼女の熱烈ファン。『恐竜100万年』、『ミクロの決死圏』(ともに66年)のあの女優、といえばなるほど納得、という人も多かろう。欲を言えばここでウェルチの映像か写真を登場させるべき。フランク・ダラボン監督の『ショーシャンクの空に』(94年)という名作では彼女のピンナップをちゃんと使っていたのにィ。

セックス・シーンもしっかり描いているところは買いたい。ルーニー・マーラ扮するセラピストの恋人と〝騎乗位〟でイタす。彼女はCA(キャビン・アテンダント)、つまりスッチーでもあるので〝機上位〟と言うべきか。これがスカンジナビア航空なのがうれしい。

70年代、パンナムより、JALより、断然スカンジナビア航空のライトブルーのスッチー制服(ボクら世代はCAというよりスッチーだぜ)! 久々にこれを拝めただけでもモトを取った気分だ。

人間は何度も生まれ変われる、友情も取り戻せる…本来はそこが味わいどころだが、ボクらしく、まずはエッチなところから入らせていただいた。

 

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