小松菜奈&門脇麦“エロい唇”2トップが奏でる音楽ロードムービー『さよならくちびる』

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『さよならくちびる』

配給/ギャガ TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国公開
監督/塩田明彦
出演/小松菜奈、門脇麦、成田凌、松本まりか、マキタスポーツほか

タイトルに〝くちびる〟とあるくらいだから、ヒロインたちのくちびるが魅力的でなければ看板倒れとなる。形から入るタイプのボクはそういうところにこだわる。その点、この映画で〝腐れ縁〟の女性デュオを演じる小松菜奈と門脇麦は、ともにぽってり厚い〝リップス〟がエロい若手個性派美人女優の2人で、おまけにボクのご贔屓なのだから文句ナシ。『黄泉がえり』(04年)などのヒューマン・ファンタジーでも知られる塩田監督だが、ロマンポルノ・リブート作『風に濡れた女』(17年)の間宮夕貴もそういえば、ぽってり厚いくちびるだったなあ。塩田監督の好みか? 趣味が合うなあ。

全国7都市を回るツアーが終わったら解散、という約束で出発した人気デュオのハル(門脇麦)とレオ(小松菜奈)、そしてローディー兼マネジャーのシマ(成田凌)。険悪なムードの中、出会いから、人気が定着してゆくこれまでを振り返るが、3人の関係は徐々にこじれ、今に至る。果たして、彼らは本当に解散するのか…。

 

3人の若手俳優の化学反応は特上

男女3人による夢と恋愛がらみのトライアングルな関係は、『冒険者たち』(67年)などを持ち出すまでもなく、古今東西、映画の定番だが、こちらは音楽映画の醍醐味も味わえる。撮影前、音楽は初心者だった3人が、特訓を重ね、実際に演奏し、歌うホンモノ感。おまけに原作なしのオリジナル脚本という新鮮度が眩しい。

三重、大阪から、日本海側を回って、最後は、はるばる来たぜ、北海道・函館というコースも味わいのあるロードムービーとなっており、彼らが転がすRV車の風情もイイし、印象的なラストシーンのアクセントともなっている。何よりの見どころはこの男女3人のトークバトルというか、言い合い、ケナし合い。ハル(門脇)は密かにレオ(小松)を、レオは実はシマ(成田)を、シマはやっぱりハルが好きという一方通行・不等辺三角関係みたいな心情がヒリヒリと伝わる。ちょっとツツけば壊れそうな〝取り扱い注意〟な3人の不協和音がいっそ心地よい。その中で、門脇・小松の〝くちびるデュオ〟がちょっとレズビアン・ムードを醸し出している。さあ一線を越えるのか? みたいなところも含め、個人的にはゾクゾクするね。才能ある3人の若手俳優の化学反応は特上だった。

ちょっとしたきっかけで知り合い、些細なことで致命的な亀裂が…そんな集合離散を繰り返した若き日々。中高年世代のそんな記憶すら呼び起こすのは、実に巧みに作られているからだろう。

 

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