尾野真千子の“全裸オナニー”が拝める衝撃の旧作『真幸くあらば』

真幸くあらば

作品目『真幸くあらば』
ティ・ジョイ 2009年 DVD発売中
監督/御徒町凧
出演/尾野真千子、久保田将至、ミッキー・カーチス、佐野史郎ほか

9月6日公開の新作映画『台風家族』で、財産分与を巡る骨肉の争いの中、長男の嫁に扮している人気女優の尾野真千子。11月公開のサスペンス映画『影踏み』、さらに来年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』にも出演が決まっている。相変わらずの売れっ子で、個人的にも好きな女優さんなのだが、このところ積極的、行動的な役柄が減ったような気がして少し残念だ。

そんな彼女が大胆過ぎる〝全裸オナニー〟を演じたこの10年前の衝撃作に再注目してみよう。

空き巣に入り、カップルを衝動的に殺害して死刑囚として投獄された南木野(久保田将至)は、美しいクリスチャン女性・薫(尾野真千子)の面会を受けるようになる。やがて惹かれ合った2人は、差し入れの聖書に入れた小さな書き込みを通して〝秘密の通信〟を始め、やがて大胆な行動に出るのだった…。

 

厳かに行われる性なる儀式

面妖なタイトルだが、決して小難しく頭デッカチな映画ではない。その昔、謀反の咎で捕えられ、刑死を間近にした有間皇子が詠んだ「~真幸くあらばまた環り見む」という万葉集の一節から取ったもの。死刑執行目前の青年と、交流を深めてゆく女性の愛を描いているが、ハイライトはやっぱり尾野真千子のソノ場面。こんな美女がなぜ死刑囚なんかに? という素朴な疑問は当然だが、事情が複雑。この死刑囚が殺したカップルの男性は、ヒロインの婚約者で、殺人現場では別の女性と密会中だったのだ。つまり、婚約者を殺した憎むべき相手でありながら、結果的に婚約者の不実を裁いた男でもある。その葛藤の中で揺れながらも、憎悪より同情に傾いてゆく。女心は複雑だが、クリスチャンゆえの憐憫の情なのだろうか。

クライマックス。死刑執行日が近づく中、結ばれたいと願う両人だが、法と鉄格子がそれを阻む。ならば、聖書で取り交わす〝秘密の通信〟を駆使して、満月の夜、と日時を示し合わせ、彼女は自室で、青年は独房で、脳内で感じ合うがごとく各々が〝疑似セックス〟的な自慰行為を行う。たとえ離れ離れでもイクときは一緒…という切なさがあふれる、文字通りの〝離れ業〟なのだ。

この尾野の聖なる、そして性なる〝儀式〟は満月に照らされた薄暗い部屋で、厳かに行われる。下着を取ったその全裸には月光が映えて神々しい。やがて自らの乳房を揉みしだき、もう一方の手は股間の敏感な部分へ…。

彼女、前出の新作『影踏み』では保育士役で「園児に〝貧乳〟って言われた」と苦笑するシーンがある。確かに控え目な胸は10年前も変わらないが、このスレンダー・ヌードは哀愁を醸し出し、決してマイナスではない、と弁護しておこう。

(映画評論家・秋本鉄次)

 

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Roman Samborskyi / Shutterstock

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