吉岡里帆が“R-15指定”で魅せたハード演技に大興奮!『見えない目撃者』

見えない目撃者

映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『見えない目撃者』

配給/東映 丸の内TOEIほかにて全国公開
監督/森淳一
出演/吉岡里帆、高杉真宙、大倉孝二、田口トモロヲほか

〝盲目の美女対犯罪者〟というと、往年のオードリー・ヘプバーン主演『暗くなるまで待って』(67年)や、近年ではミシェル・モナハン主演『ブラインド・フェアー』(13年)などが挙げられる。いずれにしてもハンディキャップものとスリラーの融合は観客をハラハラさせるに十分な設定ではある。これは、10月スタートの連続ドラマ『時効警察』シリーズの新レギュラーとなったことでも話題の人気女優・吉岡里帆が、笑顔を封印して挑む〝R-15指定〟作品だ。

自らの過失による交通事故で弟を失い、自身も失明した元警察官のなつめ(吉岡里帆)は、絶望の底にいた。聴力の発達した彼女は、ある夜、車の接触事故に遭遇し、立ち去る車の中から少女の声を聞くが、警察は取り合わない。彼女は現場に居合わせたスケボー青年の春馬(高杉真宙)の助けを借り、女子高生猟奇連続殺人事件を明らかにしてゆく…。

原作は韓国映画『ブラインド』(11年)。中国でも映像化されたほどの〝ウケる内容〟とも言える。最近、韓国映画の日本での映像化も増えている。テレビでもこの夏のドラマ『TWO WEEKS』や『ボイス110緊急指令室』などがその例だ。冷え込む日韓関係だが、映像で〝国際交流〟することの大切さをあらためて知る思い。

 

細かい設定は気にするな

弟を死なせ、自らも視力を失った苦悩するヒロインの悲劇性を吉岡が熱演する。優秀なポリスの資質がありながら、脆さが目立つヒロインに、もう下心付きで相談に乗りたいほど。露になってゆく連続殺人の猟奇性、おまけにターゲットは女子高生、というだけで興味津々の向きもいようが、個人的には吉岡(昨年のテレビの『健康で文化的な最低限度の生活』の生活保護担当の公務員役が良かった)にロックオン。それと中高年としては、大倉孝二、酒向芳、國村隼、田口トモロヲらが演じるベテラン刑事たちのいぶし銀の味が捨て難い。

真犯人と追いつ追われつのクライマックスが見せ場だが、本来は吠えない、噛まない、走らないはずの盲導犬にその禁を破らせる演出には少し無理を感じる。確かに「劇中の盲導犬の行動は演出で、実際とは異なる」とプレスには記してあるが、どうも腑に落ちない。

腑に落ちないと言えば、駅のコンコース、改札口でのサスペンスも駅員不在が不自然で盛り上がりに欠いてしまうのが残念。とはいえ、吉岡里帆ファンなら、細かいことヌキで、許してしまうだろう。

 

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