『タコピーの原罪』は“考察ありき”の漫画なのか…SNSでの盛り上がりが作品のピーク?

『タコピーの原罪』は“考察ありき”の漫画なのか…SNSでの盛り上がりが作品のピーク?

『タコピーの原罪』は“考察ありき”の漫画なのか…SNSでの盛り上がりが作品のピーク? (C)PIXTA

SNS上で未曽有の大ブームを巻き起こした漫画『タコピーの原罪』が、ついに完結。3月25日に『ジャンプ+』に掲載された最終話では、読者たちの予想を裏切るような展開が描き出された。その内容をめぐって、ネット上では激論が交わされているようだ。

※『タコピーの原罪』最終話の内容に触れています

「タコピーの原罪」は、地球にやってきたハッピー星人・タコピーと、笑わない少女・しずかを中心としたヒューマンドラマ。ほのぼのとした絵柄ながら、いじめや複雑な家庭環境など重い展開をリアルに描くことで話題を呼んできた。

そして最終回では、宇宙人・タコピーが去った後の話が描かれることに。登場人物はすべての記憶を失っているようで、しずかがまりなからいじめられているシーンから幕を開ける。しかし、ふとしたきっかけで、2人は記憶にないはずのタコピーのことをぼんやりと思い出し、“対話”へのきっかけをつかむ…。

これまで激動のストーリーが繰り広げられてきたが、最後は大団円のような形で話がまとまった。しかし後味の悪いバッドエンドを期待していた人も多いようで、ネット上では《タコピーは俺の中では駄作に成り下がったな》《個人的にガッカリ。14話までめちゃくちゃ面白かったのに本当に残念。一気に駄作になった》《タコピー綺麗に終わり過ぎてんなぁ。もっと救いようのないドロッドロの鬱エンド期待してたんだけど》といった意見も上がっている。

「百合エンド」を評価する声も

たしかに話題性を考えれば、これまでの鬱憤を晴らすような展開か、目を覆いたくなるような陰鬱な展開の方が丸く収まったのかもしれない。だが、安易な鬱エンドにしなかったことにこそ、同作の魅力があるのではないだろうか。とくにしずかとまりなの関係性については、これ以上ない着地点となっている。

ラストシーンでは時が流れ、しずかとまりなは高校生になった様子。腐れ縁のような距離感で、どこか仲良さげに買い物する姿で締めくくられている。因縁の関係であり、お互いに憎み合っていたはずの2人が“共存”するエンディングは、感動を誘うものだろう。

また、2人がお互いに抱いている“巨大な感情”を察知した人々は、この終わり方を「百合エンド」として受け止めている模様。《やっぱり百合は最高ッピ! 2人がくっついた後の後日譚も描いてくれないかな》《奇跡の百合エンドで最高でした》《最終話が百合エンドだったので単行本買いに行く》と絶賛の声が続出している。

なお、しずかとまりなに恋愛描写があるわけではないため、《百合エンドではなくない? 付き合ってるっぽい描写もなかったじゃん…》とツッコミを入れる人も多いようだ。しかし百合は恋愛の有無とはあまり関係がなく、強い感情で結びついていることが重要。そうした意味では、紛れもなく「百合エンド」だったと言えるだろう。

『タコピーの原罪』は語り継がれる名作?

物語の終わり方を評価する声も多いものの、作品全体への評価として《良作だけどライブ感で消費されてる感はあるよな。100ワニは悪い意味で今でも語られてるけど、タコピーは一週間後には誰も語ってなさそう》《途中で「この漫画もしかしてライブ感でやってるんじゃないか?」ってなって、最終話アゲアゲで行くぞって感じだったから、それはそれでいいかみたいな漫画》《最終話で一気にライブ感出たわ。その前までは興味をバラ撒いてる漫画として通用した》《良くも悪くも2022年の作品って感じ》といった声も少なくない。たしかに、もともと「タコピーの原罪」は、現在のSNSによる考察ブームに乗っかった形で発表された作品という見方もできるかもしれない。

最終話が掲載された25日、「ジャンプ+」の編集長である細野修平氏はツイッターを更新し、《『タコピーの原罪』の閲覧数が300万超えで凄いと思っていたら、ついに350万も突破しました。驚愕です! ちなみに、なぜジャンプ+が閲覧数にこんなにこだわるかというと、「本当のヒット」って、まず読まれることから始まると思っているからです》と「タコピーの原罪」に言及した。

続けて《もちろん、コミックスの部数や売上も大事なんですが、そこだけを見ちゃうと近視眼的に作品を作ってしまうというか、達成しやすい目標に向かってしまうような気がして…。でも、閲覧数って見てくれている人の数であり盛り上がりだと思うんです。だから、閲覧数を一つの目安にしています》《今の目標は、1.「各曜日に100万閲覧を超える作品を作る」2.「1週間に1000万人の読者に来てもらう」3.「最新話が1000万閲覧される作品を作る」です。順番に、徐々に達成していきたいです》と明かしている。

一部で同作と『100日後に死ぬワニ』と重ねられるのは、〝まず読まれること〟を狙って作ったブームというポイントが同じだからかもしれない。しかし、「100ワニ」の消費のされ方や最終回発表後の炎上と違い、「タコピーの原罪」はキチンと作品の力で大ヒットした印象を受ける。「タコピーの原罪」は、漫画の読まれ方が変わりつつある現代と、今後待ち受けているであろうネット漫画主体の未来を繋げた作品として語り継がれるであろう。漫画というフォーマットを再考するキッカケを作った「タコピーの原罪」は名作であることに異論はないはずだ。

文=「まいじつエンタ」編集部

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