『ゴールデンカムイ』最終回“アイヌ”の描き方が物議! 文化を広めた8年間の大団円は…

『ゴールデンカムイ』最終回“アイヌ”の描き方が物議! 文化を広めた8年間の大団円は…

『ゴールデンカムイ』29巻(野田サトル/集英社)

大人気サバイバルバトル漫画『ゴールデンカムイ』が、4月28日発売の『週刊ヤングジャンプ』22・23合併号でついに完結を迎えた。最終回となる第314話『大団円』には感動の声が相次いでいるが、その一方で“アイヌ”を描き方を巡り、議論が巻き起こっているようだ。

※『ゴールデンカムイ』最終話の内容に触れています

鶴見中尉との最終決戦から6カ月後、杉元佐一は東京の花屋に訪れていた。そして当初の目的どおり、今は亡き幼馴染み・剣持寅次の妻である梅子に、「寅次から頼まれた」として金塊をプレゼントする。

その後、アシリパや白石由竹と合流し、今後の展望を話し合う杉元。アシリパが不安げな表情で見守るなか、杉元は今までの旅路を振り返り、アシリパと一緒に食べたおいしい食べ物を思い返していく。そしてその場所こそが自分の幸せだと再確認したようで、一緒に「故郷」に帰ろうとアシリパに切り出すのだった──。

今回のエピソードによって、約8年にわたる連載が完結。それぞれのキャラクターが自分の道を見出しており、まさしく大団円と呼ぶにふさわしいラストだ。

また、兼ねてからファンの間では、アシリパと杉元の“その後”が心配されていたが、こちらもアイヌの地で共に暮らすというハッピーエンド。作中では3年後の姿も描かれており、2人は仲睦まじく“リス狩り”に興じていた。

しかし、大きな争点になっているのが、作中の重大なテーマである“アイヌ”にまつわる描き方だった。

アイヌの描き方はこれでよかったのか…?

描き方の詳細は実際に読んでみてほしいのだが、モヤッとしたという読者も多く、《アイヌの問題については、やっぱりやっちゃいけない着地をやっちゃった気がするよ》《作品と現実社会とは地続きであることを考えると手放しに称賛はできない》《随分ふんわりとめでたしめでたしで終わってて「現実のアイヌ問題はそんな生優しいものじゃないだろ?」とびっくりした》《最後のアイヌの文化を伝え云々のところのグロテスクさが無理だった。和人も文化の継承に寄与してましたよみたいなのは、余りにも気持ち悪くないですか?》といった声が上がっている。

しかし一方で、《金カムのラストは現実もこうであったら…という祈りだったね。現実ではアイヌは和人に略奪され、今なお差別が残ってる。でもそれは現実を生きる人間が考えなければならない、また別の話》《アイヌは今でも差別され、時には存在すら否定されてるんだが?って思ったけど、何回か読み直して「あれはアシリパさんがいて杉元たちもいた世界線」なのか…って思って納得した》《金カムは面白い。アイヌ文化の一端を知ることも出来る。でもフィクションである事は忘れちゃいけない。土方歳三は生き残らなかったし、アイヌの金塊も無かった。和人はアイヌにとっての侵略者。最終回を読みながら考えていた》などと自らで着地点を見つける読者も見受けられた。

現在29巻まで発売されている『ゴールデンカムイ』だが、30巻は6月17日、31巻は7月19日に発売される予定。単行本では“超加筆”が加えられるらしいので、なにかしらアイヌのことについて、さらなる言及があるかもしれない。

たしかに「漫画を楽しむこと」と、同作を通じて「アイヌ文化に興味を持つこと」と「アイヌの現状や問題を理解すること」は別なのかもしれない。『ゴールデンカムイ』8年間、アイヌを題材にした漫画(フィクション)として、心情の移り変わりや矛盾を正当化する不条理さなどを描いてきたようにも思える。

とはいえ、漫画というエンタメ作品としては見事な大団円を迎えたようと言えるだろう。現代日本で、同作がアイヌ文化を広めた功績は計り知れないものがあるだろう。今後も後世に語り継がれていく作品として、『ゴールデンカムイ』に出会えたことに感謝したい。

文=大獄貴司
写真=まいじつエンタ
■『ゴールデンカムイ』29巻(野田サトル/集英社)

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