“毒親”漫画ブームに疑問の声…ギミック化する描写は本当に正しいのか?

“毒親”漫画ブームに疑問の声…ギミック化する描写は本当に正しいのか?

“毒親”漫画ブームに疑問の声…ギミック化する描写は本当に正しいのか? (C)PIXTA

『週刊少年ジャンプ』本誌をしのぐ勢いで、次々と話題作を輩出している『少年ジャンプ+』。幅広いジャンルの作品が掲載されているように見えるが、実は「毒親」が頻出しているという説も。もしかすると、読者のニーズが偏りつつあるのかもしれない。

『ジャンプ+』で空前の毒親ブーム?

「毒親」といえば、過度な干渉などによって子どもに悪影響を及ぼす親のこと。近年ではフィクションのテーマになることも多く、親からの支配を逃れようとするキャラクターの葛藤がよく描かれがちだ。

とくに「ジャンプ+」の作品では、そんな毒親をテーマとした作品が多い。読み切りはもちろん、いくつかの連載作品でも毒親の存在が見え隠れしている。

たとえば、今年3月に完結した話題作『タコピーの原罪』もその典型。作中に登場する大人たちはほとんどが毒親であり、暴力をふるう母親、育児に無関心な父親、過度に束縛する教育ママなど、リアルな描写が詰め込まれていた。

それだけでなく、『2.5次元の誘惑』『道産子ギャルはなまらめんこい』『アフタースクールメイト』『マリッジトキシン』などの連載作でも、主人公が毒親・毒祖母の被害を受けている。

あまりにも毒親ありきの物語が多いため、読者の間では《ほんと最近のジャンプラ作品は毒親をギミックとして便利に使いすぎやろ…》《毒親出しときゃ共感もらえるみたいなテンプレになりつつあったらイヤだな…》《ジャンプ+の読み切り、大抵いじめ虐待毒親。レディコミかな?》《そろそろまともな親出してもらえませんかねジャンプラ》といった声も目立つ。

毒親が必ずウケるわけではない?

そうした風潮のなかで、また新たな毒親関連の作品が現れた。それは4月24日に公開された、早志ねまの読み切り『さくらの詩』だ。

同作の主人公・木野咲良は、父子家庭に置かれた小学6年生。喧嘩ばかりの両親や、自分より浮気相手を大切にする母と接してきた影響で、気持ちを押し殺す癖がついていた。

そんな彼女を変えたのは、思ったことをズバズバいう同級生・湊人の存在。浮気相手と再婚した実母とのやりとりの中で、咲良は自身の感情と正面から向き合い始める――。

咲良の葛藤や、家庭環境との向き合い方をリアルかつ誠実に描き出したストーリー。読者の中には、《境遇が似てて共感できた》《泣いた。久しぶりに心揺さぶられた作品だった。生き方もう少し変えてもいいかもって思えた、ありがとう》と共感を誘われた人も多いようだ。

しかしその一方で、毒親との関係性を上手く着地させていることがちょっとした火種に。激しく反発する読者からは、《毒親の話を美化するのやめてほしい》《母親なんで許されエンドになってんの? 不快だわ》《うわーこれ俺は駄目。毒親をなんかいい話風にまとめたのが気持ち悪い》といった声が上がっている。

どうやら毒親テーマだからといって、必ず絶賛されるわけではない模様。実際の親が毒親だったという人の場合、それを許容できないのも間違いないだろう。一過性のブームとして扱うことには疑問が残るが、現実問題として反・毒親を掲げることは正しいのかもしれない。

文=野木

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