
『月曜日のたわわ』を脊髄反射で擁護するオタクたち…“バカのふり”が大きな裏目に (C)PIXTA
日本経済新聞への広告掲載をきっかけとして、オタクとフェミニズムによる“戦場”と化した『月曜日のたわわ』。騒動は一度落ち着いたかに見えたものの、ツイッター上ではそのロゴデザインをめぐって新たな火種がくすぶっていた。
「たわわ」の「わ」のロゴデザインが秀逸
発端となったのは、映画評論などで知られる伊藤弘了氏のツイート。彼は『月曜日のたわわ』のタイトルロゴについて、《「たわわ」の「わ」の右下に描き込まれている二本線が何を意味しているかについて、特に説明はないがおそらく多くの日本人は理解できる》といった指摘を行った。
「たわわ」の「わ」の右下に描き込まれている二本線が何を意味しているかについて、特に説明はないがおそらく多くの日本人は理解できる。そもそも「たわわ」が何のどんな状態を指しているかについても勝手に連想してくれる。直接的に書(描)かなくても、表現はメッセージを伝えることができる。 pic.twitter.com/HQvcDw9f9t
— 伊藤弘了『教養としての映画』6刷 (@hitoh21) April 24, 2022
たしかに「月曜日のたわわ」の「わ」の下部分には、2本の線が描かれており、「たわわ」というワードが何を示すのかわかるようなデザインとなっている。
とはいえ、伊藤氏は「月曜日のたわわ」炎上騒動で見られたように、女性の体の“性的消費”云々といった批判を行ったわけではない。あくまでロゴデザインの“解説”に留まるものだった。
しかしなぜか一部のオタクたちに「敵」認定されてしまったようで、同ツイートには《たわわを批判してる奴らの想像力ってめちゃくちゃ気持ち悪いんだよね。そんな二本線、誰も気にしてないっての》《難癖付けたいがための難癖にしか思えません》《ずいぶんレベル高い「いちゃもん」だなおい》《果物がたくさん実るのをたわわって表現するよね》《もしかしてこんなこじつけな感じでいつも映画評論してるんですか…?》《へ? 理解できませんけど》といった意見が殺到している。
彼らはどうやら、ロゴデザインの“たわわ”要素をたんなる言いがかりだと主張したいらしい。
敵じゃないのに戦い始めるオタクたち
繰り返すが伊藤氏のツイートは「月曜日のたわわ」に対する批判でもなんでもないので、オタクたちが何に反論しているのかわからない奇妙な状況と言える。
また、伊藤氏の考察を「難癖」と表現している人もいるが、「月曜日のたわわ」の本編を少しでも読んでいれば、あの2本線が女性の豊満なバストを表現していることは理解できると思うのだが…。むしろ作品の個性を都合よく排除して、ロゴデザインの意図に気付かないふりをする方が、作品に対して失礼だろう。
実際に、すっとぼけ始めた一部の人々に対して、《制作側のこういう細かなこだわりまでを発見して考察するのがオタクだろ》《深い意味込めてない!! とかはオタク名乗る資格ないしデザイナーかわいそうだろ》と苦言を呈する“オタクの鑑”のような人々も。
また、解説ツイートが荒らされてしまう光景を見て、《別に作品に対して「良い」も「悪い」も言ってないのに、作品を批判したとみなされて叩かれてるの謎》《なんか急にオタクが怒り狂ってるの怖いな》などとドン引きする人もいるようだ。
「月曜日のたわわ」が批判されすぎて、同漫画をちょっとでも“性的”だとする意見に、条件反射でレスバを挑んでしまうのだろうか。もしくは伊藤氏のツイートに、見る人によっては批判だと理解できる仕掛けがあったのだろうか。見る人によっては胸のことだと理解できるロゴデザインのように…。
文=大上賢一
【画像】
Khosro / PIXTA