
『ONE PIECE』102巻(尾田栄一郎/集英社)
緻密に張り巡らされた伏線によって、多くの読者を魅了してきた『ONE PIECE』。第1話に登場した山賊の棟梁・ヒグマの正体についても、さまざまな考察が交わされてきた。そんな中、物語の根幹に関わる新たな説も浮上しているようだ。
数々の伝説を持つ男・ヒグマ
ヒグマは記念すべき「ONE PIECE」の第1話で登場したキャラクター。当初はたんなる雑魚敵だと思われていたが、その後、読者の間で再評価が進んでいったのはご存じのことだろう。
たとえばヒグマは、「ゴムゴムの実」を食べた後のルフィに、物理的なダメージを与える描写がある。当時ゴム人間だったルフィには物理攻撃が通らないはずなので、ヒグマは「武装色の覇気」の使い手だった可能性が高い。また、シャンクス率いる「赤髪海賊団」から煙幕のみで逃げ切ったことも、ただものではないことの証拠だろう。
さらに忘れてはならないのが、その懸賞金額だ。当時のヒグマは懸賞金額800万ベリー。「東の海」は最弱の海と呼ばれており、懸賞金額の平均は300万ベリーしかなかったため、異常なほどの数字だったことが分かる。
ここまではこじつけだと思われるかもしれないが、実は公式からも“匂わせ”じみた描写が。「ONE PIECE」の第101巻が発売された際、公式が解禁した記念CMにて、なぜかヒグマの手配書が一瞬だけ映りこんでいたのだ。
所属先は海軍? 謎めいた出自
そんなヒグマだが、たんに強いだけではなく、物語のキーパーソンだとする説も。作中に登場する「海軍大将」はそれぞれが異名を持っているが、そこには一種の法則があった。「青雉」や「黄猿」など、色+動物というネーミングになっているのだ。
その一方で、ヒグマも漢字にすると「緋熊」という表記になる。すなわち「海軍」の大物だと考えてもおかしくはない。
また、ヒグマの顔に刻まれている“十字傷”も、重要な伏線と考えられている。というのも、海軍の特殊部隊「SWORD」のメンバーであるコビーやドレークには、同じように顔に十字傷が刻まれていた。ヒグマも何らかの特殊部隊の一員として、フーシャ村にやってきたのかもしれない。
最近の展開では、ルフィが食べた「ゴムゴムの実」がもともと政府の管理していたものだったことが判明。五老星からも危険視されていることが描かれていた。だとすると、ヒグマが身分を偽り、「ゴムゴムの実」に干渉するために活動していた線が浮上してくる。あるいはルフィが悪魔の実を“偶然”食べ、その後、海賊として名を馳せていったこと自体が、すべて仕組まれていた計画とも考えられるだろう。
だとすると、実はシャンクスとヒグマが裏で結託しており、ルフィの前で茶番劇を繰り広げた可能性もある。今後再登場した暁には、おそらく「ONE PIECE」は過去最高の盛り上がりを見せるのではないだろうか…。
文=「まいじつエンタ」編集部
写真=まいじつエンタ
■『ONE PIECE』102巻(尾田栄一郎/集英社)