『AKB48』の“握手券商法”は本当に悪なのか…? オタクコンテンツが歩んできた歴史

『AKB48』の“握手券商法”は本当に悪なのか…? オタクコンテンツが歩んできた歴史

『AKB48』の“握手券商法”は本当に悪なのか…? オタクコンテンツが歩んできた歴史 (C)PIXTA

5月13日に放送された『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)の歴代CD総売り上げランキングにて、『AKB48』が2位にランクイン。これに対して、“AKB商法”を目の敵にする人々から批判の声が上がっている。しかしAKB商法は、そこまで悪質な売り方だったのだろうか…。

元凶は「AKB48」ではない?

AKB商法とは、ざっくり言えば同じCDの複数買いをファンに強いる商法のこと。具体的には握手券や選抜総選挙の投票券といった特典を付け、通常は1人1枚買えば十分なCDを、複数買わせるというものだ。世間では詐欺まがいだと言われることもあるが、そもそもは「AKB48」以前から存在していた合理的な商法だった。

特典のために同じような商品を買わされる文化は、かつて“アキバ系”などと言われていたオタク界隈において育まれたものだろう。グラビアアイドル撮影会のチェキ券、美少女ゲームの曲芸商法、食玩などなど…。一番有名なのは「ビックリマンチョコ」あたりだろうか。

その後、「AKB48」にいわゆるAKB商法と呼ばれる手法を持ち込んだのが、『キングレコード』だと思われる。2008年に「AKB48」はソロポスターランダム封入のシングルCD発売を発表するが、「独占禁止法に抵触する」として批判が相次ぎ、企画が頓挫。この一件で『ソニー・ミュージックエンタテインメント』などのレコード会社から見放されてしまった「AKB48」を拾ったのが、老舗レコード会社「キングレコード」だった。

CD売上至上主義への答えだった?

それまでもアイドルと握手できる小規模なイベントを行っていた「AKB48」だが、「キングレコード」移籍後最初のシングル『大声ダイヤモンド』で、初めて全国握手会の握手券付きCDをリリース。声優業界では普通に行われていた特典付きCD販売のノウハウを、「キングレコード」が「AKB48」に取り入れたのだろう。

こうして振り返ると、「秋葉原に劇場を持つアイドル」として出発した「AKB48」が、“アキバ系”の間で常態化していた特典付き商法に行き着いたのは必然のように思える。

そんなAKB商法について、オタク界隈では《AKB商法は酷いという人はアニソン・声優さんのCDにも目を向けてみよう》《今のアイドル声優のCDの売り方はAKB商法よりあくどい》《いわゆるAKB商法を大々的に女性向けコンテンツで行ってるのがヒプマイなんだよね…》といった声も。最近のオタクコンテンツは「AKB48」のような売り方が増えてきた…などと言われがちだが、むしろそちらが本家本元と言えるだろう。

そんなAKB商法でのし上がった「AKB48」が、『ミュージックステーション』などで紹介される音楽チャートにランクインすると、決まって《握手券や投票券欲しさに購入された分はカウントしないで》《ランキングを荒らすな》といった批判が。しかし本当に悪とするべきはCD売上至上主義の方であって、AKB商法はそれに“答え”を示したに過ぎない。

ただ多くの人が定額制ストリーミングサービスなどで音楽を聴く“サブスク時代”において、AKB商法はCD売上至上主義と共に化石になっていくはず。今後のアイドル業界では、どのような画期的な商法が生み出されるのだろうか。

文=大上賢一

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