『SPY×FAMILY』ヨルは幸せになるべきじゃない?“殺人”をめぐって物議…

『SPY×FAMILY』ヨルは幸せになるべきじゃない?“殺人”をめぐって物議…

『SPY×FAMILY』9巻(遠藤達哉/集英社)

『少年ジャンプ+』で連載中の人気スパイコメディー漫画『SPY×FAMILY』。現在放送中のTVアニメも大きな注目を集めているが、ヒロインのヨル・フォージャーが背負う“罪”をめぐって、ネット上で激しい議論が交わされているという。

いともたやすく行われる「殺人」の是非

ヨルは普段、市役所の地味な事務員として働いているが、その裏の顔は「いばら姫」の二つ名をもつ殺し屋だ。作中では「ガーデン」という組織の指令を受け、ターゲットを次々と始末していく。主人公であるロイド・フォージャーの妻役を務めることになったのも、殺し屋としての素性をカバーすることが目的だった。

物議を醸しているのが、ヨルが現在進行形で殺し屋家業を続けている点。ロイドやアーニャと偽装家族になってからも、これまで通り殺人を続けており、それを後悔するようなシーンも見られない。また、自身は平然と人を殺しながら、娘役のアーニャに対しては道徳的に振る舞っていることを問題視する人も。

ヨルの殺人に否定的な人々からは、《ほのぼの家族愛的な話が多いやん じゃあお前の殺しはどうなんねんっていう不快感だわ》《倫理観おかしいよ、この漫画》《欠片も罪悪感なさそうなのが色々言われる原因なんじゃないの》《殺人鬼は孤独にしてろよって思うわ》といった声が上がっている。

フィクションでの罪の扱い

そもそもフィクションにおける罪の扱いは難しく、争点になることがしばしば。たとえば、漫画『ニセコイ』は主人公・一条楽が家業である「ヤクザ」を継ぐエンディングによって、物議を醸したことがある。

楽はその仕事について、「大した悪さ」をしていない、街に悪者が入ってくるのを防いでいたと発言。こうした“美化”に無理がありすぎるとして、ツッコミが殺到してしまった。

また、この議論は同じくジャンプ漫画の『NARUTO -ナルト-』にも当てはまる。作中には、大蛇丸という非人道的な犯罪者が登場。拉致した人間で人体実験を繰り返し、「不老不死」のために他人の肉体を乗っ取るなど、悪行を行っていたが、最終的にはごく平穏に暮らすことになっている。まるで罪が許されたような扱いに、違和感を覚えた読者も多いはずだ。

「SPY×FAMILY」ではギャグのように殺人シーンが描かれているものの、実際には重いテーマであることは確か。今後、作中でこの問題に向き合う展開がやってくる可能性も大いにあるだろう。

あるいは問題意識を突き詰めれば、2018年にパルムドールを受賞した映画『万引き家族』のように、テーマ性の深い作品が生まれるかもしれない。“偽りの家族”の行く末を注視していこう。

文=「まいじつエンタ」編集部
写真=まいじつエンタ
■『SPY×FAMILY』9巻(遠藤達哉/集英社)

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