『チェンソーマン』第2部主人公はキムタクが元ネタ? 沙村広明がジャンプ作家に与えた影響

『チェンソーマン』第2部主人公はキムタクが元ネタ? 沙村広明がジャンプ作家に与えた影響

『チェンソーマン』第2部主人公はキムタクが元ネタ? 沙村広明がジャンプ作家に与えた影響 (C)PIXTA

『無限の住人』や『波よ聞いてくれ』などの大ヒット作を生み出し、ずば抜けた存在感を発揮している漫画家・沙村広明。画力や画面構成において天才的なセンスを誇っているが、その影響は『週刊少年ジャンプ』の人気作家たちにも及んでいたようだ。

「ジャンプ」を影で支える沙村広明

まず挙げられるのは、『チェンソーマン』第2部の開幕によって話題を呼んでいる藤本タツキ。学生時代から沙村の大ファンだったことを公言しており、『ファイアパンチ』連載中に行われた対談では、その思い入れを本人に対して熱く語っていた。

机のまわりに沙村作品を置き、それを見ながら描くほどに心酔しているらしく、アクションシーンなどに影響関係を感じる読者も少なくない。また「チェンソーマン」2部から登場した戦争の悪魔も、木村拓哉主演で映画化もされた「無限の住人」主人公のオマージュではないかと言われている。

さらにマニアックな引用だったのが、7月4日に「ジャンプ+」に掲載された読み切り『フツーに聞いてくれ』。同作の主人公は好きな女子への愛を弾き語りソングに込め、YouTubeに投稿するという発想の持ち主なのだが、沙村の短編集『シスタージェネレーター』に収録された『青春じゃんじゃかじゃかじゃか』にもよく似た設定の主人公が登場する。

物語の展開だけでなく、最初のページのコマ割りまで似ているため、おそらくは意図的なオマージュで間違いないだろう。

大人向け「ジャンプ」の方向性

また、藤本以外の「ジャンプ」人気作家にとっても、沙村作品は重要なインスピレーション源となっているようだ。『呪術廻戦』の作者・芥見下々は、2019年に渋谷で行われた複製原画展にて、「黒閃」の見開きを描く際に「めちゃくちゃ沙村広明先生を意識」したことを明かしていた。

ほかにも『SAKAMOTO DAYS』では、殺し屋組織のリーダー・スラーが登場するシーンで、沙村が得意とする鉛筆画の表現が。直接的なオマージュがあるわけではないものの、『NARUTO -ナルト-』の岸本斉史も、沙村の絵に強く影響を受けたことを公言している。

しかし、なぜ青年漫画畑の沙村が、これほど少年漫画誌の「ジャンプ」に浸透しているのだろうか。その理由の1つとして、「ジャンプ」の読者層が幅広くなり、大人向けの表現が受け入れられやすくなったことが挙げられる。さらにいえば、沙村フォロワーの作家がヒットを連発しているのは、“青年漫画”要素こそが今の「ジャンプ」読者に刺さっているということだろう。

『鬼滅の刃』をはじめとした国民的ヒット作によって、大人の読者も増えている「ジャンプ」。沙村の遺伝子がどのように継承されるのか、今後の新人作家にも注目だ。

文=富岳良

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