アニメ『ONE PIECE』悪しき伝統と決別? 引き伸ばし回避で薄めたカルピスの汚名返上

アニメ『ONE PIECE』悪しき伝統と決別? 引き伸ばし回避で薄めたカルピスの汚名返上

『ONE PIECE』104巻(尾田栄一郎/集英社)

原作に追いつかないよう、引き伸ばしに次ぐ引き伸ばしを行ってきたアニメ『ONE PIECE』(フジテレビ系)。しかし11月13日に放送された第1040話『操舵手の誇り 怒りのジンベエ!』では、史上稀に見るほどのテンポ感で物語が動き、視聴者も大満足だったようだ。

※アニメ『ONE PIECE』最新話に触れています

今回のエピソード前半では、鬼ヶ島城内における戦況を紹介。後半では、城内4階のキャットタワーを舞台として、「百獣海賊団」飛び六胞のフーズ・フーと、「麦わらの一味」の操舵手であるジンベエによるバトルが描かれた。

戦いの最中には、ジンベエがルフィとの絆を回想するシーンや、フーズ・フーが「ゴムゴムの実」にまつわる秘密を語る場面なども含まれている。

当然、今までのアニメ「ONE PIECE」であれば、フーズ・フーとジンベエの戦いはたっぷり尺をとっていたはず。アニオリの戦闘描写を盛り込んだり、回想シーンなどを水増ししたりと、あの手この手で引き延ばし、戦いの結末は“次回へ持ち越し”にしていただろう。

ところが今回はあっさりジンベエが勝利するシーンまでを描写。なんと原作101巻に掲載された第1018話『ジンベエVSフーズ・フー』を、ほぼ1話分丸ごと消化している。普段は1話につき原作の約11~12ページ分しか消化しないことを思うと、まさに奇跡と言うしかない。

悪しきジャンプアニメの伝統と決別か

ちなみに、10月23日に放送された第1037話『ルフィを信じろ! 同盟反撃開始!』ではナミとうるティの戦いが描かれたのだが、こちらは中途半端なシーンで終了。視聴者から《引き伸ばしがエグすぎる》とブーイングが起こっていた。

もちろんそれ以前からも引き伸ばしは激しく、原作ファンから《カルピスを限界ギリギリまでに薄めてる感じ》《薄めたカルピスどころじゃないコレほぼ水だよ》などと指摘されていたことは有名だ。

そもそも同作にかぎらず、大昔から「ジャンプ」アニメにおいて引き伸ばしは伝統文化。『ドラゴンボール』の例を挙げるまでもなく、さまざまな作品が犠牲になってきた。

その一方で、最近ヒットしている「ジャンプ」アニメは『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』、『チェンソーマン』など、原作のテンポ感を重視して作っているものが多い。もしかすると、アニメ「ONE PIECE」の制作陣もそんな時代の流れを意識しているのかもしれない。

現在大ヒット中の劇場版『ONE PIECE FILM RED』から新規ファンが入ったとしても、TVアニメ版を見始めれば、そのテンポ感の悪さに失望すること確実。神作画はたびたび話題になるので、今からテンポ改善に乗り出せば、ふたたび国民的アニメの座を取り返せるかもしれない。

文=大獄貴司
写真=まいじつエンタ
■『ONE PIECE』104巻(尾田栄一郎/集英社)

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