
FGO、終末のワルキューレより面白い? 偉人バトロワ漫画の最高峰『テンカイチ』 (C)PIXTA
古今東西の偉人や英雄などがトーナメント戦を繰り広げる、「偉人バトルもの」の作品。同ジャンルは『Fate/Grand Order』を源流としつつ、『終末のワルキューレ』で一気に開花し、多くの類似作品が作られてきた。
その多くが先行作品を超えられない中、2021年から『月刊ヤングマガジン』にて連載が開始した『テンカイチ 日本最強武芸者決定戦』だけは異彩を放っている。ほかのどの作品よりも完成度が高いのだ。
戦国武将バトルロワイヤル
「テンカイチ」は宮本武蔵や風魔小太郎など、戦国時代末期の武芸者が生死を賭けて戦うバトル漫画。舞台は織田信長が天下統一を果たしたという設定の、並行世界の日本だ。
自身の死期を悟った織田信長は、次の天下人を決めるためにトーナメントを開催することを決断。側近の武将たちが選出した武芸者同士で殺し合いを行わせ、その勝者に譲ると宣言する──。
第1話では、筆文字のトーナメント表を見せる演出などもあり、一部では「終末のワルキューレ」のパクリという指摘もあった。
ところが、武芸者たちの歴史背景を含めた熱い物語展開、画力を活かしたド迫力のバトルなど、漫画としてのクオリティが高かったため、“許される”ことに。
また、作中屈指の強キャラとされる風魔小太郎が、女体化して登場するインパクトも絶大。
セクシーな衣装と筋骨隆々なスタイルというキャラ造形が、SNS上で熱狂的な支持を集めていた。
ワルキューレの「公認」ライバルに
連載開始時こそ、ネット上では「よくあるパクリ偉人バトロワ」といった批判が多く見られた。しかし回を重ねるごとに、ネットの反応は好転。
すでに《よくあるパクリ作品かと思ったら良い意味で裏切られた》《武芸者の人選も有名からマイナーどころまで揃えていてワクワクする》など、今後の展開を期待するファンが続出している。
そんな流れの中、「終末のワルキューレ」の作画担当・アジチカが「テンカイチ」を“公認ライバル”のように扱ったことも話題に。
コミックス1巻が発売された際、帯に「とんでもないライバルが生まれてしまった!」というメッセージを寄稿したのだ。
パクリ疑惑も、オリジナルが認めてしまえば誰も文句はないだろう。
『テンカイチ』の単行本が編集部に届きました!
めちゃめちゃカッコいい!!!
なんと帯は『終末のワルキューレ』のアジチカ先生(@subarukatochika )にいただきました!
「ライバル認定」ありがとうございます!!!
『テンカイチ』1巻は『終末のワルキューレ』11巻と同日の6/18(金)発売です! pic.twitter.com/go4mypgeVa
— 山中/漫画編集@『BLAST』第①巻発売中! (@ComicYamanaka) June 16, 2021
偉人バトロワ漫画では設定が開示される序盤こそ盛り上がるものの、その後徐々に熱が冷めていくという評価が多い。「終末のワルキューレ」もその筆頭として苦しんでいる印象だ。
「テンカイチ」はこのままボルテージを維持し続け、本家への“下剋上”を果たせるだろうか…。
文=富岳良
【画像】
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