『ダンガンロンパ』衝撃の配信解禁…“ゲーム実況”という仕事はいつ許されたのか?

『ダンガンロンパ』衝撃の配信解禁…“ゲーム実況”という仕事はいつ許されたのか?

『ダンガンロンパ』衝撃の配信解禁…“ゲーム実況”という仕事はいつ許されたのか? (C)PIXTA

名作推理ゲーム『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』のプレイ動画配信規制が、12月24日からフル解禁されると決定。ひと昔前の業界では考えられない対応だが、これも世間に「ゲーム実況」というジャンルが浸透した結果だろうか。

スパイク・チュンソフトの大決断

「ダンガンロンパ」は、天才的な才能を持つ高校生たちが学園に閉じ込められ、不条理な殺し合いに巻き込まれていくミステリー作品。基本的にはテキストを読み進めていくゲーム性であり、シナリオの作りからしても、ネタバレは致命的とも言える。

そのため、今までは物語の序盤である「1章」までのゲーム実況しか許されていなかったのだが、ここにきて「エンディングまで」のフル解禁が発表された。

スパイク・チュンソフトによると、「『ダンガンロンパ』をもっと多くの皆様に知ってもらいたい、ゲームから得られる衝撃・驚愕を、もっと多くの皆様に感じてもらいたい」という理由で、方針転換に踏み切ったという。

「ダンガンロンパ」ファンの中には、配信の全面解禁を受け入れにくい人もいるようで、《マジか…ダンロンはネタバレ無しでやったほうが最後まで色々と味わえるのになぁ》《この手のゲームはまるっと配信NGにして、プレイヤーに事前ネタバレ無しで遊ばせてメーカーにお金入れて欲しい》といった声も。

しかし以前までのゲーム界隈を考えるなら、意外なほどの“歓迎ムード”と言えるだろう。

違法だったゲーム実況が今や…

今ではストリーマーやVTuberたちによるゲーム実況は、クリーンなイメージが強く、公式から案件として依頼されることも珍しくない。しかしその出発点は、かぎりなくグレーな行為だった。

元は『ニコニコ動画』などの動画サイトで、メーカーによる“黙認”のもと実況するパターンがほとんど。それからゲーム実況の需要が高まるとともに、「ゲームの売上が落ちる」ことを懸念する声が増加していった。

一時期は、《ゲーム実況のせいで売上下がったゲームとか絶対あるでしょ》《他人の作った作品で金儲けするな》《ゲーム実況というジャンルが確立したのと同時に国内PSブランドは完全崩壊した》などと言われていたほどだ。

ところが近年では潮目が大きく変わり、多くのゲーム会社が公式に実況プレイ用のガイドラインを発表するように。その先駆けとなる任天堂は、2018年の時点でガイドラインを発表していた。

またスクウェア・エニックスはガイドラインと合わせて、「『ドラゴンクエスト』シリーズはゲーム実況・配信を応援します」というメッセージも公開している。

ちなみに現在、「ダンガンロンパ」については、『にじさんじ』に所属するチャンネル登録者数170万人の人気VTuber、壱百満天原サロメがぞっこんになって配信中。初回配信のアーカイブは1カ月で45万再生を記録しており、強烈な宣伝になっていることは間違いない。

すでに各ゲーム会社は、「いかにゲーム実況と共存するか」を考える時代に突入しているのではないだろうか。

文=富岳良

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