『ジョジョ』のラスボスは小物ばかり? 吉良吉影が狂気的な魅力を放つワケ

『ジョジョ』のラスボスは小物ばかり? 吉良吉影が狂気的な魅力を放つワケ

『ジョジョの奇妙な冒険 第6部 ストーンオーシャン』1巻(荒木飛呂彦/集英社)

『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズは全8部に分かれており、それぞれラスボスにあたるキャラクターが存在する。

いずれも個性あふれる造形となっているものの、中にはよく考えると「小者すぎる」と感じてしまうラスボスもいるようだ。

情けない「ジョジョ」のラスボスたち

読者たちからとくに「ダサい」と言われがちなのは、第6部に登場するプッチ神父だ。

相手の記憶とスタンド能力をDISC状にできるスタンド「ホワイトスネイク」を操り、徐倫たちの前に立ちはだかる強敵だ。

しかしその行動理由について冷静に振り返ると、かつてのラスボス・DIOを崇拝しているだけという一点に帰結してしまう。

強力な能力に比べて、キャラクターとしての魅力が弱すぎるという指摘が多数。

《他のラスボスたちと比べて、ただのDIO好きの一般人だろ》《自分の意志がないんよな。DIOの指示を待ってるだけのキャラ》《ただスタンド能力がチートだっただけでカリスマは皆無》と、散々な言われようだ。

そんなプッチ神父と双璧をなすダサキャラが、第5部『黄金の風』に登場するディアボロだった。

ディアボロの「キング・クリムゾン」は、十数秒間の時間を消しとばし、未来予知まで可能な完全無欠のスタンド。

つまりは相手の攻撃を一切受けないのだが、それにもかかわらず、自身の正体が絶対にバレないようにこだわる性格だ。

ギャング組織のボスとして用心深いのは賢明かもしれないが、少年漫画の敵としてはいただけない。

たんなる臆病者のように見えるほどの立ち回りで、「小物!」という印象を抱かずにはいられない。

小心者だから一番怖い? 吉良吉影の魅力

そんな中、性格自体は小心者でありながら、「だからこそ魅力的」というキャラクターも存在した。第4部『ダイヤモンドは砕けない』のラスボスこと吉良吉影だ。

吉良の願いは、平凡かつ静かに暮らすこと。しかしそれと同時に、人の命を奪わずにはいられないという狂気的な性癖をあわせもつ。

手で触れたものを爆弾に変える「キラークイーン」という強力なスタンドで、快楽のためだけにひっそりと犠牲者を増やす、なんとも不気味な人物だった。

絶妙なキャラクター設定に、不思議と心を惹かれてしまう人は多い模様。

《他の部のラスボスと比べて悪人として面白い。何も野望を持たない小市民なのに一番怖さを感じる》《カリスマ性の塊》と、高く評価する声が上がっている。

作者の荒木飛呂彦も、単行本46巻の著者コメントで「『悪い事をする敵』というものは『心に弱さ』を持った人であり、真に怖いのは弱さを攻撃に変えた者なのだ」と語っていた。

真に恐ろしいのはギャングのボスや永遠の命を持った吸血鬼よりも、吉良吉影のような弱さを持った平凡な人間なのかもしれない。

文=富岳良
写真=まいじつエンタ
■『ジョジョの奇妙な冒険 第6部 ストーンオーシャン』1巻(荒木飛呂彦/集英社)

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