
『名探偵コナン』102巻(青山剛昌/小学館)
12月24日のエピソードをもって、2022年最後の放送となったアニメ『名探偵コナン』(日本テレビ系)。1年を締めくくる大事な放送だったが、アニメ界の奇才・浦沢義雄氏による脚本回となり、ネット上がザワついている。
※アニメ『名探偵コナン』の内容に触れています
この日に放送された第1067話『恋する商店街』は、商店街で繰り広げられる“プロレス大会”を題材にした物語。
ある日、寂れた盆土商店街を通りがかったコナンと小五郎は、八百屋の亭主・山崎𠮷伸が元気を失っていることに気が付く。
するとそこに、「疲れきった商店街を元気にするプロデューサー」を自称するマダム・ガガと助手のラビット鈴木が。
2人はプロレス大会の開催を提案し、小五郎もレフェリーとして参加する。しかしその大会は、チャンピオンベルトについた宝石を盗むための巧妙な策略だった…。
商店街をプロレス大会で元気にするという人達が現れたんだ。
最初はノリ気じゃなかった店主さん達だったんだけど、なぜか急に体を鍛え始めて、さらに小五郎のおじさんまでレフェリーで参加することに!?
小五郎のおじさんもノリノリで、蘭姉ちゃんは…TVオリジナル「恋する商店街」
このあとすぐ!🎄 pic.twitter.com/TwrVgc3Qe9— 江戸川コナン (@conan_file) December 24, 2022
なんの脈略もなく始まるプロレス大会、絵にかいたようなお金持ちの姿をしたマダム・ガガなど、違和感を覚える設定が目白押し。
またマダムの娘であるプロレスラーのキューティー・ミミは、若干『美少女戦士セーラームーン』っぽい風貌だった。
しかも設定だけでなく、物語の暴走も止まらない。商店街のおじさんたちがプロレスラーとして参加したが、山崎は戦う前から怯えて戦意喪失。
続いて登場した人物は“栓抜き”を取り出し、3人目はワサビが入ったような絞りを持参して戦いに挑む。
もちろん返り討ちにあっていたが、とんだ茶番にコナンも「もう見てらんねぇ」などと嘆いていた。
浦沢義雄氏からの小粋なプレゼント
一部のマニアには有名な話だが、「コナン」でこのようなトンデモ展開になるのは、大抵浦沢氏が脚本を手掛けている回だ。コメディのような設定で、相変わらず独特な世界観が展開されていた。
2022年最後の放送が“浦沢ワールド”全開だったことで、ネット上では《結構不意打ちな感じで頭痛を伴いました》《マダム・ガガなんてのが登場した時点で、浦沢脚本確定じゃないですか…》《なんて浦沢臭がする名前なんだ! あまりにも浦沢臭!》《まさか1年の締めくくりが、浦沢義雄さん脚本のアニオリとは》といった反響が続出している。
浦沢氏といえば、アニメ『人造昆虫カブトボーグVxV』や『ボボボーボ・ボーボボ』など、ギャグ展開でアニメ界をザワつかせる人物。とくに「コナン」の脚本は、狂気に満ちたエピソードで話題となっている。
そんな浦沢氏だが、一時期は同作の脚本で見かける機会が減り、降板したのではないかともウワサされていた。
しかし今回あっさり復活を遂げたため、《浦沢さんの脚本って9月24日放送の「わるいやつら」がラストじゃなかったの?》と驚く人もいたようだ。
ともあれ、1年の締めくくりが本格推理ミステリーではなくて、本当によかったのだろうか…。
文=大獄貴司
写真=まいじつエンタ
■『名探偵コナン』102巻(青山剛昌/小学館)