
『HUNTER×HUNTER』37巻(冨樫義博/集英社)
ミステリアスな描写が数多く仕込まれており、ネット上でよく考察が盛り上がっている漫画『HUNTER×HUNTER』。その中でも「キメラアント編」におけるネテロvsメルエムのエピソードでは、“作中最大の謎”と言われているほどの場面があるようだ。
※「キメラアント編」の内容に触れています
「キメラアント編」は、人類を滅ぼすポテンシャルをもった亜人種「キメラアント」をめぐる物語。ハンター協会の会長・アイザック=ネテロが直々に討伐に乗り出し、キメラアントの王たるメルエムと一騎打ちを繰り広げることとなる。
両者は常人では到達できないほどの高度なバトルを行うが、ご存じの通り、最終的にはメルエムの方に軍配が上がる。
しかしネテロはただ負けてしまったわけではなく、元々とある策略を織り込み済みだった。自分の体内に、毒入り爆弾を仕込んでいたのだ。
そこで大いに議論を呼んでいるのが、バトルの最終局面で飛び出した「詰んでいたのだ」というモノローグだ。
まず、ネテロが自ら心臓を止めて爆弾を起爆。それに対してメルエムにかぶせるように、「貴様は…!!」というモノローグが描かれ、続くコマではネテロの姿に「そう…貴様は…」という言葉が重ね合わされる。
そして爆発と共に、「詰んでいたのだ」「初めから」というモノローグが展開される…という流れだ。
一連のシーンは吹き出しが付いておらず、誰が発した言葉なのか明示されていない。
そのため、「どちらのモノローグなのか」という永遠の難題が生まれることに。ネット上ではネテロ派とメルエム派で大激論が巻き起こっている。
詰んでいたのはどっち?
それぞれの主張を見てみると、いずれもそれなりの根拠が存在するようだ。ネテロ派の読者がよく挙げているのは、直前のページで描かれていた「地獄があるなら またあおうぜ」というモノローグだ。
これは明らかにネテロの思考だと思われるため、それ以降もひとつながりのモノローグとして解釈する人は多い。
それに対して、メルエム派はモノローグの“口調”からしてネテロではないと判断している模様。初めから命をなげうつ覚悟だったネテロについて、メルエムが“初めから詰んでいた”と表現した…という説が唱えられている。
ちなみにアニメ版「HUNTER×HUNTER」の同シーンでは、「詰んでいたのだ」がはっきりとメルエムのモノローグとして発音されていた。
しかしこれをアニメスタッフの“誤読”として、退ける原作ファンも少なくない。
あるいは第三の解釈として、この場面でネテロとメルエムの内心が一致していた…つまり2人が同じモノローグを発したという説も成り立つだろう。
いずれにしろ、読者の目線では結論を出すことが難しいことは明らか。
いつか作者がこの謎を解決してくれる日は来るのだろうか…。
文=「まいじつエンタ」編集部
写真=まいじつエンタ
■『HUNTER×HUNTER』37巻(冨樫義博/集英社)