
チェンソー・鬼滅・東リベ・スパイ…アニメだけで作品を語るのは“本物のオタク”なのか? (C)PIXTA
1クールごとに大量の深夜アニメが作られるアニメバブルの影響か、昨今では「オタク=アニメ好き」という認識が広まりつつある。
しかし中にはアニメが苦手なオタクもいるようで、「アニメが好きなだけのオタク」を偽物とするような風潮もあるようだ。
オタクをめぐる歪んだイメージ
オタクの定義についてはさまざまなところで語られすぎているため割愛するとして、一昔前までは、それは“消費の仕方”に対して名付けられる称号だった。
たとえば『アンパンマン』を見ていてもオタクとは言われないが、劇場版作品まで含めて全エピソードを見ていたり、歴代キャラクターをほとんど暗記していたりしたら、それは“アンパンマンオタク”だ。
しかし現代は“コンテンツをどう消費するか”よりも、“何のコンテンツが好きか”がオタクの条件となっている時代。
さらに、いつしかアニメ好きがオタクの大多数を占めるようになり、「オタクはアニメ好き」という固定観念が生まれている。
ただ、実際にはアニメ愛好家だけがオタクというわけではなく、鉄オタやドルオタ、ミリオタなどいろいろな人種が。
そういったオタクはそもそもアニメオタクと話を合せる気がないように思えるが、困っているのは若干近しいジャンルである漫画オタクのようだ。
漫画オタクたちの受難
たとえばネット上では、とある漫画オタクからこんなお悩み相談が。
相談者はアニメには一切触れず漫画ばかりを読んで育ってきたというのだが、周囲のオタクを自称する人々はほとんどがアニメオタクで、話が合わないのだという。
たしかに最近は人気漫画がすぐにアニメ化されるので、オタクと呼ばれる人々の多くは、アニメの方を話題にしがち。
『鬼滅の刃』『チェンソーマン』『東京卍リベンジャーズ』『SPY×FAMILY』など、近年の話題作はいろいろとあるが、いずれもマジョリティはアニメ派だ。
原作がどうこうと語るファンはマイノリティであり、“原作厨”という蔑称もそれを物語っている。
しかし実際には、漫画しか読まない漫画オタクも意外と多い。
むしろアニメを毛嫌いしている人もいるようで、《アニメはただ流れてくるだけの受動型コンテンツだから、倍速視聴じゃないと見れない》《口だけ動いてるシーンとか同じシーンのループが苦手だから》《アニメって長ったらしいよな》《アニメ声優の演技が好きじゃない》といった意見も見られる。
そして好きな漫画がアニメ化されて「漫画の方が面白い」と言えば、叩かれるのは少数派の漫画オタクの方。本来“オタク”と呼ばれる人種はどちらかと言えば漫画オタクの方なのだが、それも時代の流れなのかもしれない…。
文=大上賢一
【画像】
Kostiantyn Postumitenko / PIXTA