
『水星の魔女』スレッタの白人キャストに物議! 日本のファンからは冷めた声も… (C)PIXTA
アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の英語吹き替え版で、主人公であるスレッタ・マーキュリー役に、白人声優が抜擢された。しかしこのキャスティングが人種差別問題と結びつけられ、物議を醸してしまっているようだ。
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欧米声優もキャスティングを非難!?
スレッタ役の吹き替え声優として起用されたのは、欧米版『SSSS.GRIDMAN』の宝多六花役などを演じてきたジル・ハリス。しかし褐色の肌をもつスレッタ役に、白人声優をキャスティングすることについて、《ホワイトウォッシング》だという指摘が相次いでしまった。
またツイッター上では欧米の声優からも、配給元である『Crunchyroll』を非難するようなツイートが投稿されている。
スレッタは作中で黒人と明言されているわけではないものの、欧米のファンたちは黒人声優にチャンスを与えるべき…という考えが強いようだ。
そんな海外の騒動に日本のアニメファンからは、《そもそもスレッタは白人黒人とかではなくて水星人》《スレッタは黒人じゃなくて褐色キャラだよね…》《スレッタ白人声優問題マジであほくさ》《スレッタの声優が白人女性で批判とかポリコレってマジでしょうもないな》とウンザリするような声が上がっている。
欧米声優業界の人種問題
たしかに最近では日本でも、海外産ゲームなどを通して「ポリティカルコレクトネス」の問題などが認識されつつある。
ただ、日本人の中にはこの手の問題にピンときていない人も多く、むしろフィクションと人種差別などが結び付けられた途端、「面倒くさい」と猛反発する光景も見られがちだ。
とはいえ、いわゆる“人種のサラダボウル”な欧米では、スレッタ役に白人声優がキャスティングされたことはかなりセンシティブな問題。というのも実際に欧米の声優業界は圧倒的に白人優位で、黒人というだけでオーディションを断られてしまう事例もある。
また、声優で音響監督であるクリフォード・チェイピン氏のインタビューによると、そもそもオーディションがあること事態が稀で、ほとんどが“決め打ち”でキャスティングされるのだという。
欧米の声優業界で黒人声優にチャンスが与えられない背景には、黒人のイントネーションにステレオタイプな偏見があったり、すでにキャリアのある声優を“決め打ち”で固めると、どうしても白人声優ばかりになってしまう…といった事情も。
そのためスレッタのようなキャラクターこそ、黒人声優にもチャンスを与えるべきという意見があるのだろう。
いずれにせよ、欧米の事情を知らない日本人がわざわざ口を出すことではないだろう。
文=大上賢一
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