
『るろうに剣心』残念すぎる“十本刀”の戦績…作者・和月伸宏も思わず後悔!? (C)PIXTA
『るろうに剣心』で最も印象的な敵キャラクターとして、悪のカリスマ集団「十本刀」を挙げる人は多いだろう。しかしその恐ろしい設定とは裏腹に、実際の戦果はかなり絶望的だった。
今回は、彼らの残念な戦闘シーンをあらためて振り返ってみよう。
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精鋭のはずが情けない戦績
「十本刀」は、志々雄真実が部下の中から“精鋭”の10人を集めた…という設定の特攻部隊だ。暗殺から政治的工作までこなす、裏仕事のエキスパートたちが属していることになっていた。
実際に剣心を一時的にせよ圧倒した“天剣”瀬田宗次郎、「二重の極み」を生んだ“明王”の悠久山安慈などは、その肩書きにふさわしい実力をもっている。
だが、問題はそのほかのメンバーたち。多くは威厳の欠片もない戦績に終わっているからだ。
とくによく語り継がれているのは、“飛翔”の蝙也。空中戦のプロであり、上空からダイナマイトで攻撃するド派手な戦闘スタイルだが、当時10歳そこそこだった一般人の子ども、明神弥彦に完敗してしまった。
しかも弥彦は竹刀、刈羽はダイナマイトと手甲剣といった武器差があった上での敗北。「十本刀」のイメージを下げた立役者と言えるだろう。
また大鎌使いの本条鎌足も、戦績的がいいとは言えない。巻町操とのコンビだったとはいえ、小さな道場の師範代に過ぎない神谷薫に正面から負けているからだ。
作者も後悔したほどの扱いづらさ
さらによく《期待外れ》と言われるのが、「破軍」の甲・乙コンビ。人間離れした巨体をもつ大男・不二と、それを口八丁で操る頭脳派の才槌という組み合わせで、少年漫画的にロマンを感じさせる敵キャラだった。
しかし比古清十郎に一瞬で片付けられてしまい、“かませ犬”という印象しか残していない。
そして“盲剣”の魚沼宇水も、実力はあるはずなのに、ネタキャラ扱いされている筆頭だ。心眼の持ち主であり、宗次郎と競うほどの強さとされていたが、斎藤一との戦闘シーンで、煽り耐性がまったくないことが露呈。小者っぽい印象を読者に植え付けたまま、退場していった。
ちなみに作者の和月伸宏自身も、「十本刀」の扱いには思うところがあったらしい。コミックス15巻では、その設定についての後悔を語っていた。
和月いわく「十本刀は多すぎたのか、六本か七本程度でまとめてもよかったかもしれません」とのこと。全てのキャラを活かしきれなかったことを反省しているようだ。
実際、比古にあっさり倒された才槌は、頭脳キャラとして立ち回らせる計画があったという。「隠密御庭番衆」の翁と戦わせる案も練られていたが、老人同士の戦いは盛り上がらないと判断され、ボツになっている。
ただ、そんな「十本刀」の扱いも原作バージョンはまだマシな方。実写映画版では、さらに酷い扱いになっている。いつかどこかで彼らが再評価される日はくるのだろうか…。
文=野木
【画像】
Khosro / PIXTA