『ストリートファイター6』バグの利用は重罪?“古参ゲーマーvs若者”価値観の違い

『ストリートファイター6』バグの利用は重罪?“古参ゲーマーvs若者”価値観の違い

『ストリートファイター6』バグの利用は重罪?“古参ゲーマーvs若者”価値観の違い (C)PIXTA

格闘ゲームの人気を復活させるための最終兵器として、熱い視線を浴びている『ストリートファイター6』。発売から早々、そんな同作に対戦環境を破壊しかねない致命的なバグが発見されてしまった。

そこでプレイヤーたちの間では、「バグを意図的に利用してもいいのかどうか」という論争が巻き起こっている。

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「投げ」が実質的に無効化されるバグ

今回見つかったのは、いわゆる“投げ抜け”を入力しても投げのモーションが出ないという不具合だ。

投げ抜けとは、相手の投げに対応して投げを入力することで相殺できるというもの。タイミングがずれると隙が生まれてしまうリスクがあったが、「ストリートファイター6」ではある操作を行うことで、リスクのない投げ抜けが可能となっている。

明らかにバグなのだが、ボタンを連打するだけで事実上相手の投げを無効化できるため、読み合いの定石が根本から覆されるほどの大問題だ。

「今作では相手のガードを崩してリターンを取る方法が多く用意されていますが、それでも崩しの基本は投げでした。だからこそ、投げ抜けバグの存在は大きな脅威となります。

相手の投げを注意せずに済むということは、他の崩しの選択肢も通りにくくなるということ。そんな無茶苦茶な環境では、ガードを崩すのが実質的に不可能なキャラクターとして、たとえばダルシムなどが猛威を振るうかもしれません」(攻略サイト関係者)

先日開催された『第1回 Crazy Raccoon Cup Street Fighter 6』では、ウメハラ選手のケンと、ふ~ど選手のダルシムが接戦を演じて大盛り上がりしていた。だが、もし大会前にバグが見つかっていたら、あそこまで熱い戦いは成立しなかったかもしれない。

「グリッチ=悪」が当たり前になった令和

「とはいえ格闘ゲームにおいて、メーカー側が意図していない挙動が見つかるのは珍しくありません。投げ抜けを別の行動に仕込むテクニックも、『ストリートファイター4』シリーズや『BLAZBLUE』シリーズなどで見つかっており、積極的に使用されていました。

基本的にゲーセンの筐体を壊すようなバグ以外はなんでもあり…というのが、格ゲー界隈の常識だったはずです」(同)

SNS上でも、投げ抜けバグに関して《グリッチやめろ》と怒りを露わにする声が上がっている一方で、《格ゲーはそういう文化だから》となだめようとする古参プレイヤーが一定数存在する。

ただ、「ストリートファイター6」に関しては界隈が一丸となって新規層を呼び込もうとしているタイトルだ。これまでの格ゲー界隈の常識を押し通すことが、必ずしも正義とはかぎらない。

「近頃では『Apex Legends』や『VALORANT』のようなFPS・TPSがブームになったことで、バグを意図的に利用する行為がはっきり“悪”と認定されるようになりました。背景にあるのは、ゲームに関わる環境を浄化しようとするeスポーツ化の流れでしょう」(同)

実際にカプコン側も格闘ゲームの伝統に与するつもりはないようで、公式ツイッターでは投げ抜けバグを「不具合」と断言し、はやくも修正対応に動いていることをアピールしている。

古参プレイヤーたちも、そろそろ認識をアップデートすべき時なのかもしれない。

文=「まいじつエンタ」編集部

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