
『ONE PIECE』106巻(尾田栄一郎/集英社)
アニメ『ONE PIECE』(フジテレビ系)で、ついにルフィの最高到達点であるギア5“ニカ”がお披露目された。待望の瞬間にファンは大興奮しているものの、その演出にはいろいろと問題があったようで、「ガッカリした」という反応も目立つ。
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※アニメ『ONE PIECE』最新話の内容に触れています
ワノ国で繰り広げられているルフィと四皇・カイドウの戦いも、とうとう大詰め。8月6日に放送された第1071話『ルフィの最高地点 到達 !“ギア5”』では、一度敗れたはずのルフィに異変が訪れ、ギア5に覚醒してふたたび立ち上がるところが描かれている。
ギア5は、「ゴムゴムの実」が「ヒトヒトの実」幻獣種モデル“ニカ”に覚醒したことで生まれたルフィの新たな能力。太陽の神・ニカをその身に宿し、ゴムの体にさらなる「腕力」と「自由」が加わるというもので、ルフィはさっそく奇抜な戦い方でカイドウを翻弄するのだった。
ルフィがギア5に目覚めた上、「ゴムゴムの実」が「ヒトヒトの実」だったことが判明するという衝撃の展開。原作ですでに明らかになっていたとはいえ、X(旧ツイッター)では日本のトレンド1位に「ギア5」が入るほど大騒ぎだった。
【先行カット到着!】
TVアニメ『#ONEPIECE』
ついに明日、〝ギア5〟ルフィ登場!そして17年ぶりにエンディング復活✨
新オープニングはまた後日!第1071話
「ルフィの最高地点 到達 !〝ギア5〟」
8月6日(日)あさ9:30放送▼予告はこちらhttps://t.co/MEK8QNoksi pic.twitter.com/RdCL99HIYy
— ONE PIECE.com(ワンピース) (@OPcom_info) August 5, 2023
そんな記念すべき回ということもあり、作画スタッフが全力を発揮。猛スピードで動き回るルフィが、ダイナミックな作画で表現されていた。原作と同じように『トムとジェリー』を思わせるカートゥーン表現を取り入れつつ、日本のアニメ的な表現との融合によって、今まで見たこともない画面を実現している。
しかしその一方、戦闘シーンの作画以外は酷評が相次いでいる。とくに目立っているのが、引き伸ばしへの批判だ。
尺稼ぎのせいで神回にならず…
アニメ「ONE PIECE」といえば、原作のストックを消化しないよう、引き伸ばしで尺稼ぎすることでお馴染み。記念すべきニカ回でも変わらず、物語はほとんど進んでいない。
本編24分のうち、OPに約1分30秒、前話の振り返りに約1分30秒、その後もニカが飛び跳ねるだけのカットが頻出。Bパートの冒頭では、Aパートを反復するという露骨な尺稼ぎもあり、結局ルフィとカイドウが拳を交えた時間は4分ほどだった。
たんなる尺稼ぎならまだしも、原作のテンポ感を損なっているため反感を買ってしまった。SNS上では《ニカ回くらいはテンポよくしてほしかった》《回想と同じシーンの使い回し、今日ぐらい何とかならんかったんか?》《子どもの頃見たドラゴンボールを思い出した》といった声が巻き起こっている。
「今回はテンポ感だけでなく、SEにも不評が集まっていました。カートゥーンリスペクトのニカに変身したことで、“ボヨンボヨン”といった気の抜けるSEなどが多用されており、迫力に欠けていたのは事実です。
ワノ国編では作画が現代レベルに一新されましたが、SEだけは昔のまま。往年の『ドラゴンボール』と同じ、懐かしのSEを今でも使い続けています。そのレトロ感が、ニカ回であらためて目立ってしまいました」(アニメライター)
太陽の神が主役でありながら、神回にならなかったアニメ「ONE PIECE」。“ジャンプアニメは質がイマイチ”という古からの伝統を引き継ぐ、唯一の作品となりつつあるようだ。
文=「まいじつエンタ」編集部
写真=まいじつエンタ
■『ONE PIECE』106巻(尾田栄一郎/集英社)