オタク界隈で魔女狩り横行…大物絵師“AI使用疑惑”で過激性が浮き彫りに

オタク界隈で魔女狩り横行…大物絵師“AI使用疑惑”で過激性が浮き彫りに

オタク界隈で魔女狩り横行…大物絵師“AI使用疑惑”で過激性が浮き彫りに (C)PIXTA

日本でも「画像生成AI」をめぐる議論が活発になっている。その是非はともかく、一部では“反AI派”の活動が過激化しつつあり、魔女狩りのような光景も広がっている。

最近注目を浴びているのは、人気ライトノベル『スレイヤーズ』で知られるイラストレーター・あらいずみるい氏の“AI使用疑惑”騒動だ。

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動画によって「AI堕ち」疑惑を否定

事の発端となったのは、あらいずみ氏が8月12~13日開催の「コミックマーケット102」に参加した際の創作物。制服少女のイラストが描かれた同人誌の表紙をアップしたところ、反AI派の人々から「AI生成物ではないか」という疑惑をかけられた。

しかしそれに対して、あらいずみ氏は8月15日に《ちゃんと描いてるんよー》としてAI生成物であることを否定。根拠として、イラストの制作過程を収めた動画を公開し、ファンたちを安堵させている。

「あらいずみ氏の対応により、事態は収束に向かいそうです。しかし問題は、反AI派の人々が具体的な根拠もなしに特定のクリエイターを糾弾していたことでしょう。彼らは《AI生成物をコミケに出品しちゃったんですね》《一時代を築いた作家ですらこれではもう日本は終わりだな》と散々な言いようで、“AI堕ち”という失礼な表現も使われていました。

イラストレーターとしての信用に関わる問題なので、あらいずみ氏も法的措置を視野に入れているようで、《ちょっとひどいと思った人のは記録ちゃんと残してるよー》とも投稿しています」(出版関係者)

現在、疑惑を提起していた人々は、謝罪やアカウントの削除といった対応に走っている。ところが先鋭化した人のなかには、《これだけでは証拠にならない》として、さらに疑惑を追及する動きもあるようだ。

表現の自由戦士は社会の理解を得られるのか

「反AI派の人々は、クリエイター業界の未来を守るために戦っており、その理念は立派ではあります。ですが明確な根拠もなしにクリエイターを攻撃するのは権利を守るどころではなく本末転倒でしょう。もはや魔女狩りのような光景に見えてしまいますね。

こうした攻撃性はAI問題にかぎらず、近年のオタク界隈では“表現の自由”をめぐる問題で顕著に見られるようになってきました。彼らが旗印とする表現の自由はもちろん大切な理念ですが、敵を排除するためには手段を選ばない傾向にあり、しばしば社会との軋轢を生んでいます」(同)

2020年にはタイツメーカー『アツギ』の「#ラブタイツ」キャンペーンをめぐって、激しい議論が勃発。これは30人のイラストレーターがタイツを履いた女性のイラストを投稿する企画で、萌え系やお色気系の絵が含まれていたことから反感を買った騒動だ。

公式サイトでは同キャンペーンについて「不適切な表現」として謝罪文が掲載された一方、表現の自由派の人々は猛反発し、フェミニスト批判も盛んに行われた。

また、昨年から話題になっている一般社団法人『Colabo』の騒動は、同法人の代表理事を務める仁藤夢乃氏が、温泉地を擬人化した『温泉むすめ』を批判したことが1つのきっかけとなっていた。

「Colabo騒動で争点となっていた会計処理の不正はなかったと立証されましたが、それでも陰謀論めいた話は後を絶たないのが現状です。さらに若年女性支援を行うバスカフェの活動が妨害行為に遭ったことについては、過激化した人々の暴走と言うしかないでしょうね」(同)

どんな信念を持っていたとしても、過激な行動を続ければ世間に白眼視されることは必至。攻撃ではなく対話を選ぶことはできないのだろうか。

文=「まいじつエンタ」編集部

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