「FFの条件」とは何か? スクエニ・吉田P『FF16』の挑戦を問い直す

「FFの条件」とは何か? スクエニ・吉田P『FF16』の挑戦を問い直す

「FFの条件」とは何か? スクエニ・吉田P『FF16』の挑戦を問い直す (C)PIXTA

日本を代表するRPGとして、世界に名を轟かせている『ファイナルファンタジーXVI』(FF16)。すでにナンバリングタイトルは16作品目に到達しているが、シリーズを貫く「FFらしさ」「FFの条件」はどこにあるのだろうか。

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長年の謎だった「FFの定義」に回答

この問いについて1つの答えを提示したのが、「FF16」のプロデューサー・吉田直樹氏だ。8月11日に台湾の人気ネット番組に出演した吉田氏は、「FF」シリーズについて持論を展開している。

まず吉田氏は、「FFとは何か」という大昔からの議題についてコメント。メディア向けの答えとして、「最高の物語」「最高のグラフィックス」「最高のバトルシステム」「最高の音楽」、そして「ボリュームの大きなプレイフィールド、そこにチョコボとモーグリがいたら」と7つの条件を提示した。

一方、個人的な見解については、「ファイナルファンタジーって、『Wow』って言われればもうそれでいいんじゃないか」とシンプルな定義を提示。タイトルごとにストーリーや遊び方が違っても、「とにかくすげーなこれ、なんでこんなバカなことすんの」という部分があればいいとして、「FFって、それがないとダメだと思うんす。逆に」と語っている。

そして最新作の「FF16」については、召喚獣を自分で動かせるようになったというハードルを達成できたため、同作も「FF」と言っていいのではないか…という考えを示した。

「吉田氏の一連の発言からは、『FF』シリーズが“RPGの最先端”であるというプライドと挑戦心が窺えるでしょう。ゲームとしてのクオリティが高いことは当然として、プレイヤーを驚かせるような新たな挑戦に取り組む姿勢を重視しています。『FF16』も、“FFとは何か”という問いへの吉田氏なりの答えだったのではないでしょうか」(ゲームライター)

スタッフとファンで求めるものが違った「FF16」

こうしたスタンスは、「FF」シリーズの関係者たちに代々受け継がれてきたものなのだろう。実際に「FF」の生みの親として知られるゲームクリエイター・坂口博信氏は、8月14日に自身のX(旧ツイッター)アカウントで「FF16」をクリアしたことを報告。

《FF16 最後まで。究極の幻想「FINAL FANTASY」でした。》と感想を投稿したうえ、続く英語のポストでは《ファイナルファンタジーは進化し続けるものです。決して完成することはありません》という認識を示していた。

「実際に『FF16』は現在制作できるゲームの水準としてはトップレベルであり、だからこそPS5でしか発売されていません。スタッフたちの自負心に見合ったクオリティと言えるでしょう。

しかし、そうした向上心と面白さが直結するとは限らないのがゲーム開発の難しいところ。たとえば『FF16』では、夜の明るさや焚き火の光を現実世界で測定し、忠実に再現するというこだわりを発揮していますが、プレイヤーからは《画面が暗すぎる》という反応が目立っていました」(同)

「FF16」の発売日以降、スクウェア・エニックスの株価は低迷を続けている。ゲーム開発の最先端をひた走るあまり、一般的なプレイヤーを置き去りにしていないか、少し立ち止まる時間が必要なのかもしれない。

文=「まいじつエンタ」編集部

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