スクエニ作品を過去のものに!? 日本のターン制RPGから影響を受けた海外インディーゲーム『SEA OF STARS』大ヒット

スクエニ作品を過去のものに!? 日本のターン制RPGから影響を受けた海外インディーゲーム『SEA OF STARS』大ヒット

スクエニ作品を過去のものに!? 日本のターン制RPGから影響を受けた海外インディーゲーム『SEA OF STARS』大ヒット (C)PIXTA

日本の古き良きターン制RPGを受け継いだ新作ゲーム『SEA OF STARS』が、カナダのインディースタジオから発売され、ゲーマーたちのあいだで大きな話題を呼んでいる。スーパーファミコン時代を彷彿とさせるレトロ感と、飽きのこない戦闘システムによって称賛を浴びているようだ。

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古き良きRPGが爆発的ヒット

8月29日に発売された「SEA OF STARS」は、Sabotage Studiosが開発したゲーム。ニンテンドースイッチ、PlayStation 4・5、Xbox Series X|S・Xbox One、PCで配信され、日本語にも対応済みだ。

舞台は、邪悪な錬金術師「フレッシュマンサー」が生み出したモンスターに支配された世界。プレイヤーは「至点の戦士」として育てられた主人公を操り、仲間を集めて冒険を繰り広げていく。

8月29日から順次配信がスタートすると、1日で約10万件のダウンロード数を記録するほどの大ヒット作に。ユーザーからの評価も高く、ゲームレビューサイト『Metacritic』におけるメタスコアは、PC版が88、PS5版は90、スイッチ版が91と、軒並み高得点を叩き出していた。

特徴は、日本のクラシックなRPGに影響を受けた作風にあり、BGMには『クロノ・トリガー』『ゼノギアス』などを手掛けた作曲家の光田康典氏が参加。また2Dのドット絵で表現された世界は、ノスタルジーを強く感じさせる。

さらにバトルシステムも、今時珍しいターン制RPGだ。しかしたんなる懐古趣味で終わらず、バトルが単調にならないよう、タイミングを合わせたコマンド入力で戦闘が有利になるなど、さまざまな工夫が凝らされている。

廃れゆく国産ターン制RPG

日本のゲーム業界は、ターン制RPGをほぼ見限ったと言っても過言ではない。長年続いている有名シリーズもその傾向にあり、ターン制RPGの総本山だったスクウェア・エニックスも、基本的にはアクション性を強くする方向に舵を切っている。

同社を代表する『ファイナルファンタジー』シリーズも、『15』からアクションバトルを採用しており、最新作の『16』はアクションゲームとしての完成度を追求した作品だった。

しかしメーカーの思惑は別として、実はターン制RPGを望むゲーマーは少なくない。「SEA OF STARS」の発売を受けて、《最近の懐古主義スクエニRPGよりよっぽど「あの頃のRPG」してる》《スクエニはこれで勉強してくれ》《こういうのをスクエニに作って欲しいんよな…》といった感想が相次いでいる。

最近では「SEA OF STARS」だけでなく、中国のmiHoYoが開発したRPG『崩壊:スターレイル』もクラシックなターン制コマンドバトルを採用し、世界的な大ヒットを記録している。

どれだけゲーム開発の技術力が上がっても、ターン制RPGはいまだに飽きられておらず、潜在的な需要があるのかもしれない。

他方でスクウェア・エニックスでは、『ドラゴンクエスト』シリーズの最新作『12』にてコマンドバトルを一新することを公表している。

コマンド方式は残るようだが、ターン制ではなくなる可能性もあると言われており、今後の動向が気になるところだ。

古き良きターン制RPGを海外のゲーム会社が復興させている現状に、日本のゲームクリエイターたちは危機感を抱くべきなのかもしれない。

文=野木

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