
ジャンプ「金未来杯の呪い」ふたたび…大きな期待を集めた『人造人間100』が36話で打ち切りに (C)PIXTA
9月4日発売の『週刊少年ジャンプ』40号で、江ノ島だいすけによるダークファンタジー漫画『人造人間100』が連載終了を迎えた。連載が始まった当初から、「金未来杯の呪い」が囁かれていた同作だが、不吉な予言が現実のものとなってしまったようだ。
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なぜか打ち切りが続く「金未来杯」の作品
「人造人間100」は、“理想の人間”を手に入れるために人間を襲う人造人間との戦いを描いた作品。人造人間に滅ぼされた不老長寿の一族の生き残り、主人公・八百あしびが、最後の人造人間「No.100」と復讐の旅に出るというストーリーだ。
連載が始まったのは12月5日発売のジャンプ1号で、これまで36話のエピソードが本誌に掲載されてきた。
しかし最新話にて物語が1つの結末を迎え、最終ページの柱コメントには「ご愛読ありがとうございました!! 江ノ島先生の次回作にご期待下さい」との決まり文句が。
この連載終了はどうやら打ち切りによるものらしく、作者の江ノ島は巻末コメントで《ありがとうございました! 終了も1週間前に読めなくなるのも悔しいです!》との心中を綴っていた。
週刊少年ジャンプ40号は本日発売です!#人造人間100 はいよいよクライマックス!
No.100は理想の人間となるために、一体どのような決断をくだすのか!たくさんの感想やお手紙ありがとうございます!江ノ島先生にしか描けない物語の行く末を、ぜひご一読下さい!(担当) pic.twitter.com/fsnw6MxxLr
— 江ノ島だいすけ (@Enoshimadaisuke) September 4, 2023
なお、同作の読み切り版は『金未来杯』2021年度のグランプリ獲得作品だった。「金未来杯」とは、連載化を前提とした読み切りをジャンプに掲載し、読者アンケートによって優勝を決める新人漫画家発掘企画だ。
しかし、この企画でグランプリを獲得した作品は、いずれも短命で打ち切られることで有名。長期連載となったのは『ぬらりひょんの孫』と『べるぜバブ』くらいで、多くの作品は20話~30話ほどで完結を迎えている。
歴代作品でいうと、『メタリカメタルカ』『奇怪噺 花咲一休』『ひめドル!!』『デビリーマン』『仄見える少年』『特別国家公務員改造者対策課 田中誠司』などが該当し、2021年には川口勇貴の『レッドフード』が全18話で打ち切りとなっていた。
そのため「人造人間100」に関しても、“金未来杯の呪い”がかかるのではないかと心配されていたが、全36話の短期終了となってしまった。
読み切りは好評でも連載になると迷走
「金未来杯」でグランプリを獲得した作品も含めて、近年のジャンプ新連載は、読み切りが好評でも連載化によって迷走するケースが多発している。
たとえば典型的なのが、ジャンプ23号から連載されている雲母坂盾の『ドリトライ』。同作の原型は、昨年2月に『少年ジャンプ+』で発表された『心が強ぇんだ』というタイトルの読み切りで、いずれも「心の強さ」をテーマとしたボクシング漫画という点が共通している。
この読み切りの「心が強ぇんだ」は読者が共感しやすいストーリーで、漫画ファンのあいだで高く評価されていた。そして「ドリトライ」もまた、連載が始まった当初は一部のファンから期待されていた印象だ。
しかし次第に展開の迷走が指摘されるようになり、誌面での掲載順も巻末近くになることが多くなっていった。今では打ち切りの最有力候補と囁かれている。
そもそも雲母坂は前作『ボーンコレクション』も読み切りが好評だったが、連載化した際には短期打ち切りに終わっている。連載化にあたっては、読み切りよりも編集部の介入が大きくなるため、そこに迷走が生じる原因があるのではないか…というわけだ。
9月11日発売のジャンプ41号からは、新人漫画家による新連載が3本続けてスタートする予定だ。どれも読み切りなしの連載化だが、負の連鎖を断ち切ることはできるのだろうか。
文=野木
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