
『ブルアカ』の先生と比べてぬ~べ~が聖人すぎる? これからの萌えソシャゲが見習うべき鵺野イズム (C)PIXTA
今年に入り、オタク界隈で人気が爆発しているスマートフォン向けアプリ『ブルーアーカイブ』(ブルアカ)。そんな同作の主人公であり、プレイヤーの分身でもある“先生”に対して、とある本質的な批判が注目を浴びているようだ。
【関連】クロコダイル=元女性で確定!? 実写版『ONE PIECE』ロジャー処刑シーンで描かれていた“謎の女”の正体は… ほか
先生はぬ~べ~を見習うべき?
発端となったのは、最近X(旧・ツイッター)に投稿された呟きだ。そのポストは漫画『地獄先生ぬ~べ~』の主人公“ぬ~べ~”こと鵺野鳴介を賞賛するものだったが、その反面で「ブルアカ」の先生に対する批判としても受け取られた。
「地獄先生ぬ~べ~」は、『週刊少年ジャンプ』に連載されていたホラー漫画。主人公のぬ~べ~は正義感が強い小学校教師であり、生徒たちを守るために「鬼の手」によって霊能現象を解決していく。
ぬ~べ~は女性好きという設定で、私生活では夜のお店に通い詰めるようなだらしないところがあるのだが、教師として1つの信条をもっている。それは自分の生徒を決して異性として見ないということだ。
作中では担当する生徒のみならず、言い寄ってきた未成年の女子に対しても“先生”としてしっかり説教。また十数年後の世界を描いた続編『地獄先生ぬ~べ~NEO』では、身も心も大人になったかつての教え子・美樹の誘惑に対して、「俺の生徒に手は出さん」と断固たる態度を見せていた。
大人として一線を引いて異性と向き合う態度は、少年漫画のヒーロー像として時代が変わっても十分通用するものと言えるだろう。
そんな同作と比較されてしまったのが、「ブルーアーカイブ」。というのも同作の先生は、未成年の女性キャラクターに対してセクハラまがいの言動を行うことで知られるからだ。
有名なイオリの足を舐めるシーンのほかにも、さまざまなキャラクターに対して下ネタを繰り出し、プレイヤーを騒然とさせてきた。未成年に対する“大人”の態度としては、たしかに賛否を呼んでもおかしくない描写だ。
美少女ゲームから受け継がれるお約束
だが、そもそもなぜ「ブルーアーカイブ」には、セクハラめいたシーンがあるのだろうか。その理由として、現在の“萌えソシャゲ”と呼ばれるジャンルの源流が、美少女ゲームであることが挙げられるという。
「『ブルーアーカイブ』には、導き手となるプレイヤーと未熟な少女たちという構図がありますが、これは数多の萌えソシャゲに共通する設定です。そしてこの構図を確立させた1つのきっかけとしては、『アイドルマスター』が挙げられるでしょう。
同作は全盛を誇っていた美少女ゲームを踏襲する形で、アイドルにセクハラをするような選択肢が用意されていました。その後はソシャゲでアイマスライクなゲームが次々と作られ、今に至るため、美少女ゲームの“お約束”も継承されてしまったのではないでしょうか」(ゲーム誌ライター)
また「ブルーアーカイブ」のメインライターは、兼ねてから奈須きのこ氏へのリスペクトを公言していた。同作は海外のゲーム会社が生んだ作品ではあるものの、日本のオタク文化をある意味正統に継承しているのだろう。
ただ、令和の萌えソシャゲが目指すべきは、美少女ゲームではなく「ぬ~べ~」の方かもしれない。実際にSNSなどでは、《ブルアカの女性ユーザーが少ないのは、先生のセクハラが酷いから》といった指摘も見られる。
先生だけでなく、プロデューサーもトレーナーも提督も、少女たちを導く良き大人であった方が、シナリオ的には格好がつきそうだ。なによりコンプラに厳しい令和の時代だからこそ、“鵺野イズム”の継承が必要なのではないだろうか。
文=「まいじつエンタ」編集部
【画像】
Veres Production / PIXTA