『呪術廻戦』五条悟が「北」へ行く可能性…作中に散りばめられた復活フラグを考察

『呪術廻戦』五条悟が「北」へ行く可能性…作中に散りばめられた復活フラグを考察

『呪術廻戦』23巻(芥見下々/集英社)

9月25日に発売された『週刊少年ジャンプ』43号の内容を受けて、これまでにない衝撃に包まれている『呪術廻戦』ファンたち。ネット上には、五条悟の運命に絶望する声が渦巻いている。

しかし原作をよく振り返ると、今後の展開に1つの希望を見出すこともできそうだ。

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※『呪術廻戦』最新話の内容に触れています

五条悟は生徒たちに見守られるなか、伏黒恵の体を乗っ取った両面宿儺との死闘を繰り広げてきた。だが最新話となる第236話『南へ』にて、敗北を喫し、死亡した可能性が濃厚となっている。

その死に際の走馬灯らしきシーンは、実に意味深だ。五条は空港らしき場所で、今は亡き夏油傑や七海健人、灰原雄といった仲間たちと語り合う。彼らは呪術高専に共に通っていた時代の姿をしており、夏油は袈裟ではなく制服姿、七海は学生の頃の容姿に若返っていた。

彼らの会話内容によると、昔の自分に戻ることは「南」、新たな自分になることは「北」に行くことと意味づけられており、これから飛行機で共に「南」へと旅立っていくことが示唆されている。人生最良だった日々の思い出に浸りながら、この世に別れを告げる…という意味合いなのかもしれない。

そう捉えると、このエピソードは五条が死を受け入れたことを意味するものとなるのだが、若干の違和感が拭えない。というのも、五条は見た目こそ学生姿に戻っていたものの、「僕」という一人称を使っていたからだ。

五条は高専時代、「俺」という一人称を夏油に咎められ、大人になってからは「僕」を使うようになっていた。すなわちこの場面の五条は、過去にとどまっているように見えて、仲間たちと違って未来に進み出しているのかもしれない。

もしかするとこの先、五条は「南」へ向かう仲間たちと別れ、一人だけ「北」へ向かい、現世に舞い戻るのではないだろうか…。

五条の復活フラグは他にも?

根拠が薄いと思われるかもしれないが、この説には他にもいくつかの根拠がある。作者の芥見下々はオマージュの手法を得意としており、これまでも『HUNTER×HUNTER』などをリスペクトしたシーンが描かれてきた。

だとすれば、五条vs宿儺の戦いで、同じく作中最強格同士の戦いだったヒソカvsクロロのオマージュを行う可能性は高いのではないだろうか。また、『NARUTO-ナルト-』でも、ペイン六道戦のはたけカカシが五条と同じような状況に置かれていたため、オマージュの可能性はゼロではない。

さらに第236話のサブタイトルである「南へ」は、アニメ化もされた広井王子原作の名作アドベンチャーゲーム『北へ。』を彷彿とさせる。やや強引に解釈すれば、これは五条が単身北へと向かう未来を暗黙の裡に示しているとも言えそうだ。

なお、芥見は2018年12月の『ジャンプフェスタ』にて、虎杖・伏黒・釘崎・五条のメインキャラ4人の運命について、「1人だけ死ぬか、1人以外死ぬか」という意味深な言葉を残していた。

現状、本編では虎杖を除く全員の生存が絶望的な状況となっており、「1人以外死ぬ」という線が濃厚となっているように見える。だが、芥見は読者の予想の裏をかくような展開を得意とする作家だ。

むしろこれまでの展開はミスリードであり、最終的には3人が復活し、虎杖だけが自己犠牲でこの世を去る「1人だけ死ぬ」ルートへと逆転するようにも思われる。

物語がどんな結末を迎えるにせよ、最後まで緊張感のあるストーリーを期待できそうだ。

文=野木
写真=まいじつエンタ
■『呪術廻戦』23巻(芥見下々/集英社)

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